2011 Fiscal Year Research-status Report
味覚誘発脳磁界反応を利用した鼓索神経障害の他覚的評価と予後診断
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23592472
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山内 大輔 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70361102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 彰剛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20578968)
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳磁図 / 味覚誘発脳磁界 / 鼓索神経 |
Research Abstract |
舌表面の電気刺激により誘発磁界が記録されることは知られているが、味覚と同時に体性感覚である知覚も刺激されるため、正常人を対象とした検討では、それらを分離して解析することは厳密には困難であった。研究では、正常人とともに中耳手術で鼓索神経の切断が余儀なくされた症例を対象に検討を行い、味覚と知覚の分離を行うことにより、電気刺激による鼓索神経障害の他覚的評価法の確立を行う。本年度は、(1)舌鼓索神経分布部位の電気刺激装置の作成と、(2)舌(前2/3)電気刺激誘発磁界の測定(正常人、予備実験)を検討した。 電気刺激装置の作成では、当初、各被験者の口型に合わせたマウスピースの舌接触部に電極を設置した刺激装置を作成したが、将来の臨床検査への応用を考えると、現実的ではなく、舌を挟むピンチタイプの刺激電極を作成した。また、配線では、脳磁図記録への電気的アーティファクトの混入が問題となったが、陰陽両極のへの配線を"こより"状にすることで、問題が解決されることが判明した。 また、試作した電極を用いて、正常者(研究者内被験者)を対象に、電気刺激誘発磁界の測定について、電気刺激条件(双極刺激、単極刺激、電流、刺激時間刺激間隔など)を予備的に検討した。現在までのところ、主に、持続時間0.2msの2層パルスを0.7 Hzの頻度で提示した条件で検討を行ったが、同電気刺激に対する間隔閾値の2-5倍の強さの電流刺激を行うと、比較的良好な再現性のある電気刺激誘発脳磁界が記録できることが示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響もあり、脳磁図測定の開始が予定より遅れたが、当初の研究計画である、電気刺激装置の試作と、同装置を用いた電気刺激誘発磁界の予備的計測については、ほぼ予定通り、研究遂行できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24、25年度には、予定通り、ボランティアの正常被験者、ならびに、鼓索神経切断症例を対象にした、電気刺激誘発磁界の測定をすすめ、研究目的である、電気刺激による鼓索神経障害の他覚的評価法の確立を行う。 また、当初は、現有のMEGシステムにある信号源推定ソフトのみを使用して、誘発反応の信号源を推定する研究計画であったが、より正確な信号源推定の可能性がある、BESAシステムも利用し、多面的な信号源の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度の請求額と合わせ、平成24年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。特に、上記の研究計画のように、次年度は当初の研究計画に加えBESAシステムによる信号源推定も行う予定。そのためには、当初の研究計画では予定していなかった3次元画像抽出ソフトウエア(BESA-MRI)が必要になるが、収支報告書の次年度使用額で示された研究費も使用して購入する予定。 このほか、来年度の研究費は、被験者謝金、刺激電極作成費(被験者ごとに作成)、成果発表のための旅費、機材使用料などに使用する予定。
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