2011 Fiscal Year Research-status Report
先天CMV感染症による難聴の分子遺伝学的診断法に関する研究
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23592477
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岩崎 聡 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (00232653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 英明 信州大学, 医学部, 助教 (60422698)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 先天性サイトメガロウイルス感染症 / 保存臍帯 / Real-Time PCR解析 / DNA量 |
Research Abstract |
先天性CMV感染症の診断法には免疫学的検査、新生児の尿やガスリーカードの血液や臍帯の組織を使ったCMV DNA検査(PCR法)がある。出生後2週間以内の尿からはウイルスの分離(DNA検査)が可能であるが、出生後数週間経過してからの診断には、欧米ではガスリーカードの血液からDNAを採取しCMV・DNA診断を行い、本邦では臍帯の組織を使ったCMV・DNA診断法が行われている。また、保存臍帯からのCMV・DNAの検出方法はこれまでnested PCR法による報告が主流であったが、Real-Time PCR法で感度・特異度の検証を行い、正確なCMV診断法を確立することが平成23年度の目的であった。 保存臍帯が得られた原因不明の小児難聴134児(両側難聴46児、片側難聴88児)を対象に検証を行った。出生後2週間以内の尿DNA検査で陽性が認められた症候群性CMV感染症2児をpositive controlとし、健聴児5児をnegative controlとした。保存臍帯を5mm程度採取し、DNeasy Blood & Tissue Kitを使用してDNAの抽出を行った。抽出されたDNA量を測定した。精度を高めるため、10pgのDNAをTagMan Universal Master MixIIを使用してReal-Time PCR解析した。Positive controlに対するΔCtを指標としてCMV DNAが0.01-0.8倍を陽性と判定した。その結果両側難聴の8.7%、片側難聴の9.1%にCMV DNA陽性が認められた。本方法は精度が高い診断法であることが検証されたが、診断までに手間がかかる問題点もあった。スクリーニング法としてより簡便な診断法の検討も必要と思われ、次年度の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は精度の高い診断法の確立、平成24年度は難聴の臨床症状との比較検討を予定していたが、臨床症状との検証もある程度実施できた。また、スクリーニング法としても問題点とその解決法の手がかりを見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの検討により、保存臍帯から抽出したCMVの定量的解析系が完成したため、今後、解析系をマススクリーニング法としてより適した系に改良するとともに、ウイルスが活発に増殖している状態を評価し、感染症発症の予測や抗ウイルス剤治療のマーカーおよび抗ウイルス剤投与中止(終了)のための指標として利用するため、CMVのmRNAを定量する測定計の開発と、臨床サンプルを用いた検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マススクリーニングシステムを開発することを目的に、現在使っているPCR酵素をMighty Ampなどの夾雑物に強い酵素に変更する系を確立することに使用する、PCR酵素やTaqManプローブなどの消耗品試薬を購入する。また、CMV mRNAの定量解析系を確立する事を目的に、CMVの複数の領域をターゲットにしたTaqManプローブを購入する。また、簡便にRNAを抽出するために必要なキットを購入する。
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Research Products
(43 results)