2012 Fiscal Year Research-status Report
神経堤細胞の制御遺伝子を標的にした加齢性難聴発症の予防・治療薬の開発
Project/Area Number |
23592479
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽根 三千彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大神 信孝 中部大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80424919)
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Keywords | ラセン神経節 / 神経堤細胞 / 内耳 / 難聴 |
Research Abstract |
【研究目的】感音性難聴には、先天性難聴、あるいは加齢性難聴、騒音性難聴などが含まれ、遺伝的要因あるいは騒音等の環境ストレスが関わっていると考えられている。我々は、神経堤細胞の制御遺伝子、EdnrBを標的にワーデンベルグ症候群モデルマウスの先天性難聴を改善出来る事を示してきた(Ida-Eto, Ohgami, Sone et al., JBC 2011)。一方、ポリフェノール系の抗酸化物質であるレスベラトロール(Resv)は、線虫などを用いた研究で延命効果を示す事が報告されている(Wood et al., Nature 2004)。また、ResvはEdnrBのリガンドであるendothelinsの発現制御作用がある事が報告されている(Zou et al., Int J Oncol 1999)。このような背景から、抗酸化能も持つResv投与により、EdnrBを標的に加齢性難聴を予防出来る可能性がある。そこで、本研究は、Resvの抗がん作用を検討した過去の報告に従って(Brakenhielm FASEB J 2001)、Resv(25 μM)を野生型マウス(C57/BL6系統等)に3~6ヶ月間飲水投与し、加齢性難聴に対する効果を検討した。 【結果】Resv投与群(n=10)は、非投与群(n=10)と比較して、加齢性難聴に有意な予防効果は示さなかった。また、ニッスル染色、透過電子顕微鏡、免疫組織染色等により内耳の形態解析を実施した所、加齢に応じて観察される非投与群のラセン神経節の変性について、Resv投与群は予防効果を示さなかった。 【今後の検討課題】飲水投与によるResvの加齢性難聴の予防効果を検討したが、期待した結果は得られなかった。今後、内耳器官培養系等でResvや他の候補化合物の効果を検討しつつ、投与方法の最適化の検討も進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた成果は、予想に反するものであったが、実験系自体は機能しており、今後、スクリーニングを進めれば、有望な候補化合物が得られる可能性がある為。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)内耳の聴神経系の維持に関わる分子群の発現・活性を制御出来る化合物の選定をいくつかの投与法で進め、加齢性難聴発症の予防・治療薬の開発をマウスレベルで展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費および今年度の研究費繰り越し分を併せた研究費は、マウスに投与した化合物の作用機序の解析に必要な一般試薬、マウスの維持管理費、及び、聴覚系の病理解析に必要な形態解析試薬等に使用する予定である。
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Research Products
(19 results)