2013 Fiscal Year Annual Research Report
前庭神経系の可塑性における抗うつ薬の役割に関する研究
Project/Area Number |
23592484
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下郡 博明 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70226273)
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Keywords | 前庭神経系 / 抗うつ薬 / CREB / BDNF / trkB |
Research Abstract |
初年度に、抗うつ薬の慢性投与によって実際海馬領域で神経の可塑性のマーカーであるCREBのリン酸化を認めることをモルモットを用いて免疫組織学的に確認、さらに昨年度はCREBのリン酸化によって活性化されると言われている脳由来神経栄養因子(BDNF)が、抗うつ薬の慢性投与後に実際に増加しているかどうかをmRNAを抽出してRT-PCRを用いて定量比較することを行った。抗うつ薬の一つである塩酸セルトラリン含有飼料を慢性摂取することで、海馬領域では有意にBDNF mRNAが増加したが、前庭神経核、前庭神経節においては有意な増加は認めなかった。そのため、本年度は抗うつ薬を慢性投与したモルモット、非投与モルモットの2群に対して、一側前庭障害を加えた際の、BDNF mRNA、BDNFのレセプターであるtrkB mRNAの有意な増加の有無を検討した。一側前庭障害作成後24時間で前庭神経核、前庭神経節からmRNAを抽出してRT-PCRを用いて定量比較した。抗うつ薬慢性投与群の障害側の前庭神経節のBDNF mRNA、trkB mRNA、障害側の前庭神経核のBDNF mRNAは、抗うつ薬非投与群の非障害側のものより有意に増加していた。この度の研究では、抗うつ薬慢性投与によって、急性前庭障害時において、障害側の前庭神経系でCREB-BDNF系が活性化されることにより障害を軽減させる、あるいは障害からの回復を促進する可能性が示唆されたことは大いに意義があると考えた。以上の結果から、抗うつ薬の慢性投与は急性前庭障害時に前庭神経系の機能回復に寄与する可能性がある。
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Research Products
(2 results)