2013 Fiscal Year Annual Research Report
難治性中耳炎副鼻腔炎に対しsiRNAにより粘膜杯細胞化生を制御する新治療法の開発
Project/Area Number |
23592490
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 善久 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90360023)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 元彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50326138)
|
Keywords | 杯細胞化生 / Math1 / TNF-α / レチノイン酸 / EGFR |
Research Abstract |
申請者は、杯細胞分化に関与する遺伝子を抑制することで杯細胞化生を抑制し、正常な粘膜を再生させることによって、慢性中耳炎や好酸球性中耳炎を根本的に治療することが可能になると考え研究を行っている。我々はすでに、マウス中耳粘膜上皮細胞にレチノイン酸(粘膜分化に必須の栄養素)、TNF-α(炎症性サイトカイン)を単独で投与した場合はごくわずかな杯細胞しか誘導されないのに、レチノイン酸とTNF-αを同時に投与すると、2週間後に効率的に杯細胞化生が誘導されることを発見している。また、Math1を遺伝子導入すると、さらに多くの杯細胞を誘導できることから、Math1は炎症による杯細胞化生においても中心的な役割を果たしていると考えられる。さらに、レチノイン酸とTNF-αのうち、レチノイン酸が主にMath1の活性化に関与している事を明らかにした。すなわち、マウス中耳粘膜細胞にレチノイン酸を投与すると、12時間後にMath1が細胞質から核に移動するのが観察された(Nakamura, pediatr Res 2013)。今回の研究では、レチノイン酸とともに、EGF(表皮成長因子)受容体のチロシンキナーゼ阻害剤(AG1478)を投与すると、12時間後のMath1の核への移動が抑制されることが示され、Math1の活性化はEGF受容体のチロシンキナーゼに依存していることが明らかになった。また、AG1478によってMath1を不活化すると、TNF-αとレチノイン酸を投与しても2週間後に杯細胞化生を誘導することができなかった。以上より、Math1の抑制によって杯細胞化生を抑制し、正常粘膜を温存できることが示された。
|