2012 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性中耳炎による内耳障害機序の解明と予防戦略の確立
Project/Area Number |
23592492
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 尚弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90291260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 ゆき子 自治医科大学, 医学部, 教授 (30108534)
日高 浩史 東北大学, 大学病院, 講師 (40302103)
金沢 弘美 自治医科大学, 医学部, 助教 (40570643)
|
Keywords | 好酸球性中耳炎 |
Research Abstract |
IL-5, Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxinなどの好酸球遊走因子を外リンパ灌流することによる急性内耳障害、および耳管、骨胞経由に慢性的に内耳へ投与し経時的な聴覚閾値変化を検討した。低濃度のIL-5、ECP、eotaxinの外リンパ灌流では、コントロールと経時的変化に差がなかったため、さらに微量投与装置を改良し高濃度の外リンパ灌流急性実験を行った。これにより、ECPでcompound action potenrial(CAP)の低下がみられたが、IL-5についてはCAPへの影響は明らかではなかった。さらに、経鼓膜および経耳管的に鼓室内にECPを投与し、経時的にABR(auditory brain stem response)を測定する慢性実験を行った。現有測定機器の不具合によりさらに音場での詳細な音圧測定可能な機器(B&K)を物品として購入した。平成24年度購入予定であったペリスタルティックポンプは既存の器械を修理改良することにより使用可能とした。ECPにより数日間はABRの閾値変化はみられなかったがその後閾値上昇を認めた。ABR閾値の上昇は内耳障害によるものも考えられたが中耳粘膜にも炎症性変化を生じ中耳炎が惹起されその閾値上昇の解釈は伝音、感音両成分によるものと考えられた。さらに、組織学的検討を行うと中耳粘膜にIgEの発現がみられた。好酸球性中耳炎症状発現の重要な因子となっていると考えられることから、抗IgE抗体を鼓室内に投与し影響を検討したところオマリズマブは投与しなかったコントロール側と比してABRの閾値上昇はみられず今後の臨床投与の可能性が示唆されさらに検討を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-5、ECP、eotaxinの外リンパ灌流では、コントロールと経時的変化に差がなかったため、さらに微量投与装置を改良し高濃度の外リンパ灌流急性実験を行い、ECPでのCAP変化への関与を認めた。分子量が大きく蝸牛内投与が制限される可能性があるが、中耳粘膜の組織学的変化も新たに知見として得られた。今後組織学的検索とマウスを用いた投与実験をすすめる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究最終年度にあたり、ECPが内耳障害を生じる可能性が示唆され、さらに組織学的、生化学的解析を行う。 また。好酸球性中耳炎は中高年以降に発症して来る点から、研究計画に沿って加齢性変化の異なるマウスを用いて加齢に対する好酸球遊走因子の易受傷性の変化も検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体、試料、さらに実験動物、解析用のソフト、記録用磁気媒体などの消耗品、研究発表用の経費として使用予定である。
|
Research Products
(2 results)