2013 Fiscal Year Annual Research Report
オートファージー誘導による内耳保護作用の新規分子標的治療への応用
Project/Area Number |
23592494
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
五島 史行 慶應義塾大学, 医学部, 客員講師 (80286567)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286556)
|
Keywords | 内耳培養細胞 / オートファジー / 酸化ストレス / p62 / Keap1/Nrf2 / 分子間クロストーク |
Research Abstract |
有毛細胞、らせん神経節細胞、支持細胞にも分化能のある内耳培養細胞HEI-OC1細胞を用いた実験を行った。p62 siRNAをエレクトロホレレーション法にて遺伝子導入し、p62をノックダウン(KD)させることで、オートファゴソーム形成不全内耳感覚細胞を作製した。Western blot法を用いて、p62 KD HEI-OC1細胞において、LC3-IIの発現は著しく低下することを確認した。ところが、Keap1の発現は低下したが、Nrf2の発現には変化があまりなかったことを確認した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、p62 KD HEI-OC1細胞におけるNrf2とKeap1の局在を検討したところ、Nrf2は核内に移行し、Keap1は細胞質内に蓄積することを確認した。さらに、酸化ストレス下でのp62 KD内耳感覚細胞は、細胞内クリアランス低下により酸化ストレスに対する脆弱性が増し、細胞死が促進することも確認した。p62は、内耳感覚細胞においてオートファゴソーム形成に中心的な役割を果たしていることが主たる原因であると推察している。さらには、内耳感覚細胞におけるp62は、オートファジーとNrf2/Keap1 シグナル伝達を介在し、内耳感覚細胞死制御の中心的な役割を果たしていることを示唆している。Nrf2 KD細胞では、Keap1, p62の発現は共に低下した。Keap1 KD細胞では、Nrf2 とp62の発現は、共に低下した。これらの結果は、内耳感覚細胞におけるp62, Nrf2, Keap1の間には、分子間クロストークが確実に存在することを示している。この結果は、平成24年度までに行った酸化ストレス下の内耳感覚細胞におけるp62, Nrf2, Keap1の相互作用を裏付ける結果と考えている。
|