2011 Fiscal Year Research-status Report
組織再生工学を利用した人工鼓膜および中耳粘膜の作製と癒着性中耳炎治療への応用
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23592498
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
田中 康広 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40266648)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
癒着性中耳炎の成因ならびに病態を解明する目的として、今年度はまずin vitro での人工鼓膜の作製を試みた。採取した中耳粘膜を in vitroにて粘膜上皮細胞とfibroblastに分離培養し、これらの培養細胞を用いて単層の粘膜上皮ならびにコラーゲン内にfibroblastを混入させた粘膜下組織を作製し、上皮層および粘膜下層の2層からなる人工中耳粘膜シートを作製した。電子顕微鏡による観察では、若干繊毛が減少するものの正常中耳粘膜とほぼ同様な組織構造が観察された。次に外耳道皮膚より採取したkeratinocyteを重層化させ、鼓膜上皮層にあたる鼓膜上皮シートを作製した。この鼓膜上皮シートはKi-67の発現様式からは正常皮膚と同様な増殖能を有し、またcaspase-14の発現からは正常な分化を行っていることが明らかとなった。さらに、電子顕微鏡下での観察の結果からは基底膜に相当する基底板の存在や顆粒層におけるtight junctionの存在が確認され、正常な鼓膜上皮層と類似した構造であることが判明した。またこの粘膜上皮シートと中耳粘膜シートがECMを介し、表裏一体となるように融合させ、三次元人工鼓膜を作製した。現在、この人工鼓膜の組織像を電子顕微鏡下に観察を行い、また免疫組織学的にサイトケラチンの発現パターンや, involucrinおよびPCNAなどから上皮の分化、増殖能を検討しているところである。今後は作製した人工鼓膜を用い、各種サイトカインやケミカルメディエーターを作用させ、実験的に癒着性中耳炎の発症を誘導することを検討している。また、鼓膜陥凹の原因と癒着性中耳炎が進展する機序にはどのような因子が深く関与するのかについて分子生物学的な検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年4月から当大学へ教授として赴任したことにより研究を行う環境の変化があったため、その整備が必要であったこと、ならびに東日本大震災の影響により計画停電の範囲に含まれたことやその後も節電のために研究を行う時間が減少したこと、電力の影響により実験の計画が立てられなかったことなどが原因として挙げられる
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年4月から当大学へ教授として赴任したことにより研究を行う環境の変化とその整備ならびに東日本大震災の影響による電力不足の問題により、昨年度予定していた研究が満足に実行できなかった。そのため、生じた次年度使用額を用いて昨年度施行予定であった研究を今年度に行い、更に今年度予定の研究も並行して行ってゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人工鼓膜および人工中耳粘膜シートを作製するうえで必要な細胞培養にかかる材料費、免疫組織学的ならびに分子細胞学的手法にかかる試薬などを消耗品費として使用する。また本研究と関連する研究の情報収集やの研究の成果を学会発表ならびに海外論文へ投稿する目的として旅費や論文投稿費などにも使用する予定である。
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