2012 Fiscal Year Research-status Report
内耳障害における内耳スーパーオキサイド分布について
Project/Area Number |
23592502
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
原田 保 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30165021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 久毅 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70309574)
森田 倫正 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40341119)
舘 俊廣 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70341120)
浜本 真一 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30551204)
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Keywords | 内耳 / スーパーオキサイド / 一酸化窒素(NO) / CDDP / 薬剤性内耳障害 |
Research Abstract |
一酸化窒素(nitricoxide,NO)が組織に傷害を惹起すことは周知の事実であるが、内耳への関与は明確にされていない。今年度は、特別に作製したカテーテル型NOセンサーを用いて、内耳障害モデル動物の鼓室階のNOの測定を試みるとともに蝸牛組織内の誘導型NOs(iNOs:内耳障害と関係が深い)をWestern Blot法で測定した。前年度の聴覚検査でABRの閾値が投与3日目に上昇し、5日目には回復傾向にあった。この事実にapoptosisが関与している可能性を用いて、前年度と同じ方法で作製した。投与後1~5日目まで連日ABRを測定した。組織的検討のためABR測定後1,2,3,4,5,6日目に蝸牛を摘出した。摘出した組織はreal time PCRを行いcaspaseカスケードの最下流に位置するエフェクターカスパーゼであるcaspase 3とautophagosome形成に必須であるbeclin 1について検討した。同時にHE染色して光顕観察や電顕観察も行った。前回より頭数を増やして、click 2,4,6および8kHzの刺激で検査し、前回と同様にほとんど全ての個体で3日目に閾値の上昇を認め、5日目には1日目の閾値に回復していた。内耳にiNOsのバンドは1日目に現れ、2日目が最も著明に出現していた。3,4日目は減少し、5日目には1日目と同量であった。またcaspase 3およびbeclin 1ともにコントロールに比べ約5倍の発現増加を認めた。前回同様に鼓室階に挿入したカテーテル型NOセンサーの状態は不安定であるが、Western Blot法にてiNOsの日時的変化が明確になり、NOが内耳障害の病態に関与している可能性は高い。apoptosisなどの関連を含め内耳障害のメカニズムを更に明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カテーテル型NOセンサーを鼓室階に固定して、NOを測定しているが、経時的に測定したいため、余り深い麻酔をかけることができなく、データーにばらつきが生じている。そこで今回は、Western Blot法を用いてiNOsを24時間ごとに測定し、NOsの発現量は2日目が最も多かった。この結果より内耳障害にNOが関与している可能性は高いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ABRは3日目に最も閾値の上昇を認め、5日目には回復傾向にあった。これはなんらかの内耳修復・保護作用が発現したと考えられる。caspase 3やbeclin 1が著明に出現していたことから、これらに関与するなんらかの病態が出現したと考えられる。このメカニズムを解明し、治療に役立てたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①カテーテル型NOセンサーの改良に経費をあてる。 ②iNOsタンパクと内耳障害の程度に関して検討したい。 ③caspaseカスケードのいろいろなタンパクを同定し、caspaseの役割を明確にしたい。 ④このモデルで内耳内にapoptpsisの発現があるかを明確にしたい。発現があれば、それを増強し、治療に結びつくかを検討したい。
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Research Products
(6 results)