2011 Fiscal Year Research-status Report
核酸医薬の併用による上顎癌新規治療法の確立に向けた基礎的研究
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23592505
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花澤 豊行 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90272327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん / ゲノム / マイクロRNA |
Research Abstract |
上顎癌の臨床検体を用い、遺伝子解析を行った結果、複数のマイクロRNA(miRNA)の発現変動が確認できた。このうち特に強い発現低下が認められたmiRNA-874とmiRNA-375着目した。これらmiRNAを上顎癌由来の培養細胞株に遺伝子導入し、腫瘍抑制効果や標的遺伝子についての解析を行った。両miRNAともに、その遺伝子導入によりコントロールと比較し、有意に腫瘍細胞の増殖抑制効果が得られた。さらにこれらのmiRNAの標的遺伝子を探索するために、上顎癌の扁平上皮癌培養細胞に遺伝子導入を行った結果、複数の遺伝子の発現が抑制されることを確認した。この中で、miRNA-874の遺伝子導入で発現の低下する遺伝子3種(PPP1CA、PAAF1、TGOLN2)とmiRNA-375により低下する遺伝子1種(LDHB)について更に詳しい解析を行った。その結果、miRNA-874とPPP1CA、PAAF1、TGOLN2およびmiRNA-375とLDHBの臨床検体における発現には負の相関関係が存在していた。PPP1CA遺伝子には、miRNA-874との標的結合部位が存在し、LDHB遺伝子にはmiRNA-375との結合部位が存在していることも確認できた。また、PPP1CA遺伝子およびLDHB遺伝子をsiRNAを用いて、ノックアウトすると上顎洞扁平上皮癌の培養細胞の増殖能と浸潤能が有意に抑制されることを確認した。さらに臨床データとの比較から、LDHBの発現が低い症例群に比べて、発現が高い症例群では統計学的有意に予後が悪いことが確認できた。miRNA-874とmiRNA-375は、上顎癌において複数の癌遺伝子を抑制的に制御するmiRNAであることが確認でき、新規治療薬開発の有望な遺伝子であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上顎洞扁平上皮癌の新規治療法開発に向け、腫瘍抑制効果を有する複数のマイクロRNAが同定でき、その標的となる遺伝子も確認できた。この遺伝子の機能解析も進んでおり、概ね順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、先述した腫瘍抑制効果を有する複数のマイクロRNA候補遺伝子を確認し、その機能解析と標的遺伝子の探索を行っている。また、上顎洞扁平上皮癌の培養細胞株での解析以外に、抗がん剤であるシスプラチンに対して耐性を有する上顎癌培養細胞株での実験も進行させており、抗がん剤の感受性を増感することができるマイクロRNAを見出すことに近づけるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腫瘍抑制効果を有する複数のマイクロRNA候補遺伝子を確認するために、マイクロアレイによる機能解析用のプローブ、試薬の購入とその機能解析に用いられる培養細胞株の管理に必要な試薬や物品および抗がん剤を含めた試薬類の購入に使用する。また、網羅的な遺伝子解析を一部、外部業者に発注する予定でもいる。
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Research Products
(3 results)