2012 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉症に対する表皮免疫療法の開発についてーTSLPの機能解析を中心にー
Project/Area Number |
23592516
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
寺田 哲也 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60343670)
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Keywords | スギ花粉症 / 免疫療法 / TSLP |
Research Abstract |
Th2タイプのアレルギー性炎症を誘導するサイトカインであるTSLPの機能解析を行い、経皮的パッチ免疫療法が樹状細胞の分化成熟にどのような影響を及ぼし、アレルギー性炎症の制御が可能かどうかの解明を目標としている。 本年度の主な研究実績 慢性副鼻腔炎手術の際に得られた鼻茸より樹立した線維芽細胞を継代培養し、その繊維芽細胞より産生されるTSLPの測定とその産生に及ぼすステロイドの影響を中心に解析を進めている。TNF-αとIL-4の相互作用にて、鼻茸由来線維芽細胞からTSLPが産生されDexamethasoneはTNF-αとIL-4誘導性のTSLPを抑制することが分かった。また、IFN-γによりTNF-αとIL-4誘導性のTSLPは抑制された。以上のことよりTh2型アレルギー性炎症に関与する重要なサイトカインであるTSLPの産生ををDexamethasoneは抑制し、鼻噴霧用ステロイド薬の鼻茸に対する作用機序のひとつとしてTSLPの抑制が考られた。 本研究はスギ花粉症に対する新規の免疫療法の開発を目的としており、スギ花粉症患者の下鼻甲介粘膜から樹立した線維芽細胞を用いての同様の実験を計画中である。また、スギ花粉症患者に対する皮下注射による減感作療法を施行する際の皮膚発赤長径と効果発現との関連例を検討しており、当該研究における経皮的抗原投与に対しても十分参考にしうるデータを得ている。 以上の解析を終了後に臨床応用にむけての検討を始める予定で、経皮的免疫療法が副反応なく効果を示すことが可能かどうかを、客観的に判断できる花粉曝露室を用いてスギ花粉症ボランティアに対し施行していくことを計画中である。経皮的免疫療法が可能となれば在宅治療の可能性にもつながり、臨床的治療法の選択肢が広がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スギ花粉症に対する経皮的減感作療法を企図した研究計画を遂行していく際の問題点の一つとして、抗原投与する皮膚または皮下組織の採取が現実問題として困難であることが挙げられる。したがって、慢性副鼻腔炎患者および花粉症患者に行う手術時の鼻茸および下鼻甲介粘膜から樹立された線維芽細胞を代用しTSLPの発現解析、機能解析をせざるを得なかった。 また、当該研究の経皮的抗原投与を開始する前に、抗原の皮下注射による現行の減感作療法の際の皮膚反応を詳細に検討し臨床効果との関連性を検討する必要性があった。 上記の理由により当該研究の臨床試験の開始がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに施行したTSLPの機能解析や抗原の皮下投与における皮膚反応の解析に基づき、最終年度の研究として、抗原の経皮的投与による安全かつ簡易な免疫療法に関する臨床試験を予定している。 経皮的抗原投与する際の至適投与量、必要投与量の決定のための効果判定と安全性の確認をまず行う必要がある。スギ花粉症ボランティアを対象に、プラセボ対象の二重盲検試験を花粉曝露室を用いて行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の通り、研究の遅延に伴い未使用額が生じている。未使用分および次年度研究費は下記の費用に充てる予定でである。 スギ花粉症ボランティアへの謝金。 花粉曝露室の運用費。 スギ花粉の購入費。 血清学的検査費。 主に上記に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)