2011 Fiscal Year Research-status Report
電気刺激による内喉頭筋の再運動化と筋萎縮の抑制に関する研究
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23592519
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
片田 彰博 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90281899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国部 勇 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40321963)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機能的電気刺激 / 声門閉鎖運動 / 埋込型電極 |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害された喉頭機能を正常に近い状態に回復させるために、機能しなくなった喉頭の筋肉に電気刺激を加えて筋収縮を誘発し、喉頭の運動機能を回復させることにある。 喉頭の運動機能は声門閉鎖運動と声門開大運動に分けられる。はじめに、声門閉鎖運動に関与する甲状披裂筋を長期間にわたって刺激するための新しい埋込型電極をデザインした。甲状披裂筋は甲状軟骨のすぐ裏側にある板状の筋肉である。この筋の位置と形状から刺激電極の形状をシート状のものに工夫した。電極は縦8mm、横10mm、厚さ1mmのシリコンシートに直径1mmの電極を3mm間隔で2列に8個配置した。 次に、この電極を使って実際に声門閉鎖運動が誘発できるのか検討した。実験にはイヌを用いた。麻酔下でイヌの頸部を切開して甲状軟骨を露出した。甲状軟骨の表面に5mm×7mmの長方形の開窓をおこない、甲状披裂筋の表面を露出して、軟骨と甲状披裂筋の間に埋込型電極を留置した。まず、正常の神経支配がある甲状披裂筋を用いて、電極の適切な位置と効果的な刺激パラメーターについて検討した。声帯の運動は口腔より挿入した内視鏡で観察した。埋込型電極には8つの電極があるが、その中でも甲状披裂筋の外側部分に位置している電極ほど、小さな電気刺激で大きな声門閉鎖運動が誘発できていた。刺激頻度は40Hzが最も効果的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喉頭運動機能の回復を目指した機能的電気刺激の応用には、まず目的とする筋を確実に刺激することができる電極が必須である。本年度は本研究の初年度であったため、新しい電極を開発し、それが実際に使用可能であるかを検証することが最大の目標であった。今回デザインした新しい電極は、イヌを用いた実験でその有効性が確認され、実際の使用に耐えうるものであることが明らかとなったことから、本年度の目標については概ね達成できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、障害された喉頭機能を正常に近い状態に回復させる新しい治療法の確立を最終目標としている。そのためには実際に麻痺している喉頭の筋肉を電気刺激によって収縮させ、声帯運動を回復させなければならない。今後はイヌの喉頭麻痺モデルを作成し、新しくデザインした電極が麻痺している喉頭でも、効果的に喉頭筋の収縮を誘発し、声帯運動を回復することができるかを検討する必要がある。また、電気刺激が筋線維自体におよぼすダメージや神経再支配に対する影響についても、イヌおよびラットを用いた実験によって検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様に、実験動物の購入、手術機器、麻酔用薬品、電極など消耗品を中心に研究費を使用する計画である。また、本研究の遂行に重要な声帯運動を観察する内視鏡のシステムが老朽化しており、画質の低下が著しい。内視鏡の補修および動画記録装置の更新についても研究費を使用しなければならない状況である。
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