2013 Fiscal Year Research-status Report
電気刺激による内喉頭筋の再運動化と筋萎縮の抑制に関する研究
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23592519
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
片田 彰博 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90281899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国部 勇 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40321963)
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Keywords | 機能的電気刺激 / 声門閉鎖運動 / 埋め込み型電極 / 神経再支配 |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害された喉頭機能を回復させるために、麻痺している喉頭の筋に電気刺激を加えて筋収縮を誘発し、固定してい る声帯を再運動化させることである。 まず、声門閉鎖筋である甲状披裂筋を長期間刺激するための埋込型電極をデザインした。電極は縦8mm、横10mm、厚さ1mmのシ リコンシートに直径1mmの電極を3mm間隔で2列に8個配置した。この電極で実際に声門閉鎖運動が誘発できるのか検討するために、イヌ の声帯麻痺モデルを作成した。モデル動物は反回神経を切断した直後に再吻合した喉頭筋再支配モデルと反回神経切 断後に吻合をおこなわない喉頭筋脱神経モデルの2群に分け、電気刺激によって誘発される声門閉鎖運動の違いについて検討した。 神経切断から3ヶ月後に、声帯が固定していることを確認して、麻痺側の甲状披裂筋の表面に埋込型刺激電極を留置した。 口から硬性内視鏡を挿入し、電気刺激で誘発される声門閉鎖運動をビデオに記録して解析した。 切断後に神経吻合をおこなった再支配群の動物では、小さな 電気刺激で大きな声門閉鎖運動が誘発され、その調節は容易であった。一方、神経吻合をおこなわなかった脱神経群の動物でも電気刺激によって声門閉鎖運動を誘発することはできるが、より大きな電気刺激が必要であり、その調節も容易ではなかった。長時間の強制的な筋収縮は筋の疲労現象を誘発する。今回の電気刺激では120秒を越えて十分な声帯運動を誘発できることが確認された。 この結果から、喉頭筋の神経再支配の程度にかかわらず、電気刺激による声門閉鎖運動の誘発は可能であるが、喉頭筋が神経再支配 を受けているほうが、より効率的に声帯運動を誘発することが可能であり、その調節も容易であると考えられた。さらに筋の疲労現象による声帯運動の低下は、我々が目的とする喉頭機能の回復には影響しないものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喉頭運動機能の回復を目指した機能的電気刺激の応用には、まず目的とする筋を確実に刺激することができる電極が必要不可欠である。昨年度は新しい電極を開発し、それが実際に使用可能であるかを検証し、使用に耐えうるものであることを確認した。本年度はその電極を用いて麻痺している筋を電気刺激した。その結果、筋の神経再支配の程度によって刺激効率には違いがあるものの、目的とする声門閉鎖運動を誘発することができた。さらに、筋に生じる疲労現象による声帯運動の減弱が機能回復に与える影響をあきらかにするため、長時間の持続的な電気刺激をおこない、筋疲労現象の出現時間とその程度を確認した。この知見は、本研究の最終目的である、機能的電気刺激による麻痺声帯の再運動化の基礎となるものであり、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、障害された喉頭機能を正常に近い状態に回復させる新しい治療法の確立を最終目標としている。本年度の研究成果から麻痺している甲状披裂筋を電気刺激することによって、声門閉鎖運動を誘発できることが確認できた。しかし、筋の再支配の状態によって刺激効率が大きく異なることから、理想的な刺激パラメーターを検討することが、実際の臨床応用を考える上での重要な課題となる。今後は、電気刺激によって誘発された声帯の運動が、障害された機能の回復に有効に作用するのかを検証しなければならない。電気刺激で誘発した声門閉鎖運動が音声障害や嚥下障害を回復させることを評価する。また、電気刺激が筋線維自体におよぼすダメージや神経再支配に対する影響についても、イヌおよびラットを用いた実験によって検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
麻痺している内喉頭筋を刺激することに特化した新しい電極を、業者と相談し細部を調整しながら作成していたが、問題点の改善に予想よりも多くの時間が必要であった。その結果として、購入すべき電極をなかかな購入できずにいたため、次年度の使用額が生じた。 新しい電極の開発も順調に進んでいるため、次年度使用額は新しい電極の購入に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)