2011 Fiscal Year Research-status Report
嚥下障害の病態評価に基づいた集学的嚥下障害治療法の確立
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23592530
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00181123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 正博 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30565742)
西窪 加緒里 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (60380242)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 嚥下造影検査 / 嚥下内視鏡検査 / 薬物治療 / カプサイシン / 嚥下機能の定量的評価 |
Research Abstract |
嚥下障害の病態を客観的・定量的に評価し、嚥下機能の評価基準を作成することを目的として以下の研究を行った。嚥下造影検査では造影剤を嚥下させた際の喉頭挙上距離、喉頭挙上度、喉頭挙上遅延時間(LEDT)、造影剤の咽頭通過時間(PTT)を、2次元動画解析ソフト(DIPP Motion Pro-2D)を用いて定量的に計測した。その結果、例えば加齢による嚥下障害では喉頭挙上距離は若年者と比較して有意な差がないものの、LEDTやPTTは延長するなど、嚥下反射の惹起遅延や嚥下関連筋の機能低下を示唆する結果が得られた。嚥下内視鏡検査では4項目の観察項目をそれぞれ4段階に評価するスコア評価法を提唱した。この評価法を用いることで、必ずしも嚥下障害を専門としない医師や言語聴覚士などのコメディカルにおいても嚥下機能の障害様式や重症度を客観的に評価することができた。また、嚥下後の咽頭残留度(咽頭クリアランス)は嚥下造影検査の所見と有意に相関することや、経口摂取状況と4項目のスコアの合計点に明らかな相関が見られることも明らかにした。このようなことから本スコア評価法は、嚥下障害の病態評価や治療法の決定において有用であると考えられた。治療においては、カプサイシンなどを用いた薬物治療の効果を、さまざまな原因による嚥下障害患者において検討した。多くの患者ではカプサイシンを2週間以上投与することで、LEDTやPTTの改善が得られ、経口摂取可能な食形態も改善した。カプサイシン投与(4.5μg/日)前後の血中サブスタンスP濃度を測定すると、投与後徐々に増加し、1週間後には1.5倍に増加した。サブスタンスPは嚥下反射や咳反射に関わる神経伝達物質であることから、カプサイシンは嚥下機能改善あるいは嚥下性肺炎の防止にとって有用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嚥下造影検査および嚥下内視鏡検査による嚥下機能の客観的評価法は概ね確立することができている。特に嚥下内視鏡検査のスコア評価法は国内の多くの施設でも用いられるようになっており研究は順調に進捗している。一方、嚥下圧検査による嚥下機能の評価については、嚥下圧検査システムの不具合により、現在のところ検査の実施が一時中断しており、計画より遅れている。治療においてはカプサイシンを用いた嚥下障害治療を積極的に行っており、そのデータの解析を進めている。今後もさら症例数を増やして、原因疾患毎の解析や治療効果のメカニズムについて検討を行う予定であるが、現在のところは研究計画は順調に達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては嚥下造影検査および嚥下内視鏡検査における検査データをさらに蓄積する。また、嚥下圧検査をより多くの原疾患患者を対象として実施し、嚥下圧波形の解析法や嚥下圧伝搬波形の作成法を確立し、嚥下機能の客観的評価基準を作成する。これらの検査法による嚥下機能の評価結果と治療結果を突き合わせることで、嚥下障害の病態に応じた治療指針を提案する。さらに、嚥下障害に対する治療としては、カプサイシンをはじめとする薬物治療を推進し、リハビリテーション、外科的治療などを含めた治療法の選択基準や集学的治療の適応基準を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には、まず嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査、および嚥下圧検査を引き続き実施する。研究費はこれに必要な各種消耗品、そのデータを保管・管理するための経費に用いる。治療では薬物治療に用いるカプサイシン含有フィルムなどの購入費、カプサイシン投与前後での血清中のサブスタンスP濃度を比較するための、検査委託費にも充当する。また、研究成果は学会ならびに論文にて発表する予定であり、そのための論文作成費や旅費などにも用いる。
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Research Products
(27 results)