2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592531
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 寅彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安松 隆治 九州大学, 大学病院, 助教 (00444787)
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Keywords | 頭頸部癌 / 化学予防 |
Research Abstract |
頭頸部がん治療の現場では重複癌の発生が大きな問題となっている。これは、喫煙、過剰飲酒を主とした発癌要因に繰り返し、広範囲に上気道粘膜が暴露される(フィールド癌化:field cancerization)ことにより上気道粘膜上皮の多段階発癌が進行してゆくことによる。癌の化学予防(chemoprevention)とは薬剤やビタミン剤を積極的に内服することにより癌のプログレッションを抑制、再分化に向かわせ、癌(重複癌)の発症を予防することである。本研究は頭頸部領域の多段階発癌を薬剤にて化学予防できないかを検討することを目的としている。 昨年度、シリアンハムスターの頬粘膜(頬袋)に7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)(2回/週X20週~)を塗布することで癌のprogressionハムスター口腔(Hamster buccal pouch)モデルの作成に成功した。 このモデルハムスターにレチノイン酸(13-cis RA, ATRA)を投与することによる発がん抑制実験を継続中である。個体によっては造腫瘍性が抑制されているものも認めるが、現時点では統計学的に有意な腫瘍抑制効果は認めていない。問題点としては、腫瘍ができるまでに時間(9-12週)を要すること、レチノイン酸の濃度(やや低濃度過ぎたか)、造腫瘍性の個体差などなどが挙げられる。 昨年同様継続して腫瘍作成→予防治療を行い、肉眼病理、組織病理学的な抑制効果が確認でき次第、分子生物学的解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハムスターを用いた頭頸部がんのモデルの確立には成功しているが、この発癌モデルに対するレチノイン酸の有用性はまだ確認できていない。 腫瘍ができるまでに9-12週要することから、レチノイン酸の有効性を検証するのに時間を要している。さらにレチノイン酸の濃度やハムスターの造腫瘍性の個体差などが要因と考察している。
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Strategy for Future Research Activity |
ハムスターにおける癌の作成に時間を要するために、動物個体数を増やして研究を進めてゆく必要がある。 また、レチノイン酸の濃度を変化させることで腫瘍抑制効果を証明し、その後分子生物学的なマーカーの検索へとつなげてゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度同様に動物モデルの作成に必要なハムスター、試薬の購入が中心となる。病理組織解析のための外注検査、成果発表のための旅費にも研究費を充てる予定である。
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Research Products
(8 results)