2012 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるシスプラチン感受性規定因子の解明ー網羅的タンパク解析法を用いて
Project/Area Number |
23592542
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 徹也 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40334940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60109759)
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Keywords | 頭頸部外科学 / シスプラチン耐性 / 網羅的タンパク解析 |
Research Abstract |
本年度の研究では、前年度までに進行したSELDI-TOF-MS(表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析)で網羅的に解析し、複数の候補タンパクのピークを絞り込むことに次いで、以下の知見を得た。まずはシスプラチン感受性株(UM-SCC23)、シスプラチン自然耐性株(UM-SCC81B)、シスプラチン獲得耐性株(UM-SCC23-CDDPR)より抽出したタンパクを電気泳動(Q-PAGEを使用)により比較。銀染色にて発現の差があったスポットを切り出しゲル内消化後、MALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析)を使用したペプチドマスフィンガープリンティングにて解析、そのタンパクを同定することができた。そのうちいくつかのタンパクをウエスタンブロッティング法で発現の差を確認することに成功した。 さらにシスプラチン感受性株(UM-SCC23)、シスプラチン獲得耐性株(UM-SCC23-CDDPR)、シスプラチン自然耐性株(UM-SCC81B)と共に、5FU耐性株(UM-SCC-W/R)をも比較する試みをiTRAQ®(4PLEX)とタンデムマススペクトメトリー(Triple TOF5600)を組み合わせる方法で行った。液体クロマトグラフィーにはnano HPLCを使用。ESIでイオン化後Qq-TOFのマスを組み合わせ解析を行った。その結果をProtein Pilot®を使用して検討。全体で2173個のタンパクを同定することができ、そのうち多剤耐性因子に関わると思われるタンパクを13個、CDDP耐性に特異的に関与すると思われるタンパクを7個同定することができた。その結果はウエスタンブロッティング法でも確認し同様の結果を得ている。現在Si-RNAを使用し機能解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・シスプラチン感受性株(UM-SCC23)、シスプラチン自然耐性株(UM-SCC81B)、シスプラチン獲得耐性株(UM-SCC23-CDDPR)より抽出したタンパクを電気泳動により比較。銀染色にて発現の差があったスポットをMALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析)を使用したペプチドマスフィンガープリンティングにて解析、そのタンパクを同定することができた。そのうちいくつかのタンパクをウエスタンブロッティング法で発現の差を確認することに成功した。 ・シスプラチン感受性株(UM-SCC23)、シスプラチン獲得耐性株(UM-SCC23-CDDPR)、シスプラチン自然耐性株(UM-SCC81B)と共に、5FU耐性株(UM-SCC-W/R)をも比較する試みをiTRAQ®(4PLEX)とタンデムマススペクトメトリー(Triple TOF5600)を組み合わせる方法で行った。液体クロマトグラフィーにはnano HPLCを使用。ESIでイオン化後Qq-TOFのマスを組み合わせ解析を行った。その結果をProtein Pilot®を使用して検討。全体で2173個のタンパクを同定することができ、そのうち多剤耐性因子に関わると思われるタンパクを13個、CDDP耐性に特異的に関与すると思われるタンパクを7個同定することができた。その結果はウエスタンブロッティング法でも確認し同様の結果を得ている。現在Si-RNAを使用し機能解析を行っている。今後上記結果をあわせ学術論文として報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
・機能解析:SiRNA、遺伝子導入のテクニックを用いた、同定したタンパクの機能解析を予定している。遺伝子操作による各細胞株でのタンパクの発現コントロール後、ウエスタンブロッティングにてその結果を確認。次いでCDDP、5-FUを含めた複数の抗癌薬耐性をMTT assayにて確認する。 ・臨床検体による確認:我々は日常臨床により得た頭頸部扁平上皮癌の臨床検体を多数保有している。それら 臨床検体を使用し、今回同定した抗癌薬耐性に関わると思われる候補タンパクを免 疫染色、LC-MS/MSを用いて検討を行う。 ・in vivoでの実験:頭頸部扁平上皮癌を移植したマウスを用いて、今回同定したタンパクが実際抗癌薬耐性にどのように影響しているか検討する。実際我々が同定しているタンパクに対する、マウスの試料に混ぜることができる阻害剤なども販売されておりそれらを使用した実験も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・機能解析のためのSiRNA、遺伝子導入のテクニックを用いた、同定したタンパクの機能解析のため、研究費を使用する計画である。また遺伝子操作による各細胞株でのタンパクの発現コントロール後、ウエスタンブロッティングにてその結果を確認するためにも研究費を使用する計画である。。次いでCDDP、5-FUを含めた複数の抗癌薬耐性をMTT assayにて確認するためにも使用する計画である。
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Research Products
(5 results)