2011 Fiscal Year Research-status Report
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23592543
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
森 浩一 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 部長 (60157857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 暢 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 有期補助員 (50510591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 吃音 / 制御工学 / 言語学 / 神経科学 / 医療・福祉 / 脳機能 / 聴覚フィードバック / 発話制御 |
Research Abstract |
発話は動的かつ正確な時間同期を要する運動によって実現され、発話中の誤りは帰還制御によって意識的・無意識的に修正される。自己音声の聴覚帰還制御はほぼ即時に働くものと、長時間かかって適応するものがあるが、この提案では、構音に関する自己音声の速い聴覚帰還制御の特性を定量的に明らかにし、これを脳機能計測と照合して、構音の速い帰還制御にかかわる神経基盤を解明し、従来の発話モデルとの整合性を検証することを目的とする。このために、速い帰還制御特性を解析する手法を改良・開発する。さらに、音声の基本周波数の聴覚帰還制御が異常である発達性吃音者で、この構音制御特性が異常かどうかを検証し、吃音の病態の解明に役立てる。このため以下の3目標を定め、ほぼ年度毎に実施する。(A) 聴覚帰還音声の修飾を行って構音の制御応答を測定する系を構築し、反応特性を調べる。(B) 脳機能計測で前項の制御特性と相関する部位を抽出し、既存の発話モデルを検証・修正する。(C) 同様の実験を吃音者にも実施し、構音の帰還制御が吃音の病態に関与する度合いを求める。 平成23年度は聴覚帰還すべき音声の変調方法と刺激パラダイムの開発を行い、被験者の音声分析(持続母音)により、母音構音の特徴を決める第1・第2ホルマント周波数抽出→ホルマント周波数を修飾加工して音声を合成→発声時に合成音声の聴覚帰還、同時に発声を録音→音声分析(ホルマント周波数抽出)→音声の反応、すなわち、帰還制御の継時的特性を計算、という聴覚帰還制御の計測システムを構築した。これにより、持続母音の発声中にホルマントの変調を聴取することで、音声のホルマントが変化することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聴覚帰還音声の修飾を行って構音の制御応答を測定する系を構築し、反応特性を若干名について調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は聴覚フィードバックに変調を掛けることで,音声出力に反応が出ることを確認したが,平成24年度にはその応答率が最大でどの程度であるのかを調べるため,変調度を変化させて応答を見る実験を行う。また,変調の方向を現在は既存の音韻(母音)の方向としているが,これを多方向にし,方向性が見られるか(既存の音韻との関連があるか)どうか調べる。並行して,聴覚フィードバックを変調して聴取しながら発音する際の脳機能を計測できるようにする(今年度の主要目標)。音声の応答と脳機能の関係を調べ,聴覚フィードバックによる音声の応答を起こす脳内メカニズムを明らかにする。次いで,それが吃音者と非吃音者で異なるかどうかを調べ,吃音の病態を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は研究分担者が他施設に異動し,共同で実験をすることが困難となったため,実験については研究代表者の施設内の連携研究者に一部依頼・引き継ぎをした。研究分担者は24年度以降は実験に参加することが困難なため分担にはならないが,連携研究者として,引き続き研究へのアドバイスと資料提供,論文作成で共同する。平成23年度は実験システムの開発はほぼ順調に進んでいるが,内部被験者で検証を行ったので,外部被験者を使った実験の謝金支払いが想定より少なくなった。また,旅費(海外出張を含む)の実際の費用が申請時の見積より少なくて済んだため,若干予算を繰り越した。24年度以降に有効活用する予定としている。平成24年度は脳機能計測に必要な機材を中心に購入する。音声加工と脳機能計測データ処理にも機材ならびにソフトウェアが必要である。システムの改良と実験は研究代表者の施設内の連携研究者と行う。3年に一度開かれる国際非流暢会議(国際流暢学会の主催)に出席し,吃音研究の最先端の情報を入手すると共に,吃音の構音と脳機能についての提案を行い,議論を行う。他の学会,研究会でも成果を発表し,研究者と議論を行い,研究の推進を図る。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Functional lateralization of speech processing in adults and children who stutter.2011
Author(s)
Sato, Y., Mori, K., Koizumi, T., Minagawa-Kawai, Y., Tanaka, A., Ozawa, E., Wakaba, Y., Mazuka, R.
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Journal Title
Frontiers in Psychology
Volume: Vol.2, Article 70
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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