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2012 Fiscal Year Research-status Report

構音の聴覚帰還制御特性の解明と脳内機構の研究

Research Project

Project/Area Number 23592543
Research Institution国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)

Principal Investigator

森 浩一  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 部長 (60157857)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 蔡 暢  独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信研究センター脳情報通信研究室, 有期補助員 (50510591)
Keywords聴覚帰還制御 / 言語学 / 構音 / 制御工学 / 吃音 / 医療・福祉 / 神経科学 / 脳機能
Research Abstract

発話は動的かつ正確な時間同期を要する運動によって実現され、発話中の誤りは帰還制御によって意識的・無意識的に修正される。自己音声の聴覚帰還制御はほぼ即時に働くものと、長時間かかって学習・適応するものがあるが、先行研究では数十分にわたる学習の結果としての制御特性を示したものが多い。この提案では、学習をほぼ含まないと思われる、自己音声の比較的速い聴覚帰還制御(数秒以内)の特性を定量的に明らかにし、これを脳機能計測と照合して、比較的速い聴覚帰還制御にかかわる神経基盤を解明し、従来の発話モデルを検証することを目的とする。具体的には、
(A) 聴覚帰還音声の修飾を行って構音の制御応答を測定する系を構築し、反応特性を調べる。
(B) 脳機能計測で前項の制御特性と相関する部位を抽出し、既存の発話モデルを検証・修正する。
(C) 同様の実験を吃音者にも実施し、構音の帰還制御が吃音の病態に関与する度合いを求める。
刺激としては、あらかじめ録音した本人の母音持続発声に、ホルマントのステップ変調をかけた音を作成しておき、持続母音の発声中に聞かせた。これは従来の研究とは異なり、オープンループ特性の測定を行っている。(A)については、発話毎の変異が大きいため、周波数領域でフィルターをかけるなどの工夫を追加したところ、500 ms以下の潜時での応答が見えるようになったが、個人差も大きい。(B)については、単語発話で吃音者の脳活動部位が非吃音者と異なることが判明したので、持続母音と単語発声中の脳活動を記録した。(C)持続母音の基本周波数の聴覚帰還制御においては、発声音声の基本周波数に依存する部分があることが分かってきた(男女差として検出された)。吃音者と非吃音者では遅い応答(ただしピーク潜時は600 ms以下)に振幅の差があったが、基本周波数にも差があり、その影響を除く必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

聴覚帰還音声の修飾を行って構音の制御応答を測定する系を構築してきたが、毎回の発話の変異が大きく、加算しても応答がよく見えないことが多かったため、方法に改良を加えた。これまで使ったモーフィングによる音声加工では、ホルマント周波数だけを変化させても加工音声は目標のホルマントに達しないことが判明したため、ホルマントの裾野の周波数についてもモーフィング対象として、目標通りのホルマント変調がかかるようになった。また、ホルマント変調が急峻なために応答が減少している可能性に鑑み、自然性を出すために立ち上がりに適切なローパス特性を付加した。また、応答音声から抽出したホルマントデータの加算回数を増やした。それによる発声回数の増加を相殺するために、刺激の持続時間を2種類に減らした。さらに抽出されたホルマントの時系列データに周波数領域でフィルターをかけて整形した。これらの処理を順次追加したため、やや計画より遅れている。ここまでの修正により、500 ms以内にホルマント周波数の応答ピークが見られるようになった。ただし、被験者によってはこの早い応答が見えない者もいた。

Strategy for Future Research Activity

音声の加工をこれまでは音声モーフィングソフトによって行って来たが、加工に時間がかかるために被験者を長時間待たせる必要があることと、自然発話の揺れが刺激音声に残存するために、応答の検出感度が低いないし応答の出現確率が低くなっている可能性を排除するため、自然性には劣るが音声の揺れを少なくした刺激を別の合成方法(ホルマントの分析・合成)を使いて作成し、結果を比較する。さらに多変量解析を利用したデータ処理を試みる。安定した応答が出る被験者について、刺激音声のホルマント変調の有無に対応した脳活動が得られるかどうかを調べ、その活動部位を同定し、発話の聴覚制御の半定量的なメカニズムをモデル化する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

音声の加工に時間かかかっているため、高速な計算機を導入し、できるだけ自動化して処理を加速する(計画一部変更予定・備品)。音声加工・応答の処理についの情報収集をさらに進め(研究資料・旅費等)、改良の余地があれば必要な装置を導入して改良する(主に消耗品)。被験者を追加し、大量の音声データが得られるため、基本的な処理を研究補助員に依頼する(謝金)。成果を国内外の学会・研究会で報告し、専門家と議論する(旅費等)。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 構音の聴覚フィードバック制御における注意の影響の検討2013

    • Author(s)
      錦戸信和, 森浩一, 岡田美苗, 越智景子
    • Journal Title

      日本音響学会2013年春期研究発表会講演論文集

      Volume: 2013-1 Pages: 653-654

  • [Journal Article] 音声の追唱後の発話速度制御2013

    • Author(s)
      越智景子, 森浩一, 岡田美苗, 錦戸信和
    • Journal Title

      日本音響学会2013年春期研究発表会講演論文集

      Volume: 2013-1 Pages: 567-568

  • [Presentation] Gender differences in voice F0 control to pitch-shifted auditory feedback2012

    • Author(s)
      Okada, M., Mori, K., Okazaki, S., Cai, C.
    • Organizer
      42nd Annual Meeting of the Society for Neuroscience (Neuroscience 2012)
    • Place of Presentation
      New Orleans, U.S.A.
    • Year and Date
      20121013-20121017
  • [Presentation] Abnormal articulation route in people who stutter2012

    • Author(s)
      Cai, C., Mori, K., Okazaki, S., Okada, M.
    • Organizer
      The 7th World Congress on Fluency Disorders
    • Place of Presentation
      Tours, France
    • Year and Date
      20120702-20120705
  • [Remarks] 吃音について

    • URL

      http://www.rehab.go.jp/ri/kankaku/kituon/overview.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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