2011 Fiscal Year Research-status Report
組織シーラントを用いたガスタンポナーデ不要の網膜剥離手術の有効性,安全性の検討
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23592551
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 史樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30334064)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 網膜剥離 |
Research Abstract |
1.FocalSealの網膜に対する接着力の検討;豚眼を半球状にし,硝子体を十分に除去し,18ゲージ針で網膜に裂孔を作成し,そこにFocalSealを塗布した.その後60秒の光照射を行い,アイカップを人工房水で満たし,網膜裂孔が閉鎖しているかどうかを確認した.実験を静止画,動画に記録して解析した.その結果,FocalSealは網膜に対して充分な接着力を持つことが分かった.2.FocalSealの房水中でのpHの検討;ガラスチューブを12本準備し,以下の3群に分けた.A; 人工房水5mlのみ. B; 人工房水5m+ 光照射後のgel状FocalSeal0.2ml. C; 人工房水5m+ 光照射後のgel状FocalSealを超音波破砕したもの0.2ml.それぞれの群の容器を37度に保たれた保温器により保存した.保存後,経時的に72時間後までpHを測定した.その結果,12時間後より徐々にpHが上がり始めた.臨床的には問題のない上昇ではあるが,人工房水に添加されている溶媒などに問題がある可能性があり,再検討が必要と思われる.3.FocalSealの眼毒性の検討;有色家兎に全身麻酔をかけ,さらに0.4%塩酸オキシプロカインを点眼することで,眼表面麻酔を行った.FocalSeal0.2mlを光照射で固形化した後に超音波破砕機でパウダーととした.パウダー化したFocalSeal+人工房水を0.1ml硝子体腔内に注入.もう1群の右眼には人工房水のみ0.1mlを硝子体腔内注入する.注入前と注入後1,7,14,28日、1ヶ月において手持ち細隙灯顕微鏡での前眼部観察と単眼倒像鏡による眼底観察を行い、角膜,前房,水晶体,硝子体,網膜の状態を記録した.注入時,注入後,角膜,前房,水晶体,硝子体については検眼鏡的に変化なく,網膜電図でも異常を認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画の初年度の実験は全て行った.FocalSealの硝子体注入後の組織標本観察だけはまだ達成できていないので,研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の初年度の研究で達成していない部分(FocalSealの硝子体注入後の組織標本観察)をまず達成させる.その後は申請書に記した研究計画通りに研究を進めて行く方針である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FocalSealを用いた網膜剥離手術の有効性,安全性を検討するために,引き続き,家兎を用いた動物実験を行う.片眼に硝子体手術を施行,実験的網膜剥離を作成し,その後FocalSealにより網裂孔閉鎖を試み,眼内タンポナーデを行わずに手術を終了する.対照として家兎の片眼に実験的網膜剥離を作成し,そのまま手術を終了する.術後6ヶ月の間,経時的に眼検査を行う.網膜に対しては網膜裂孔の解剖学的閉鎖を評価するために眼底写真だけでなく,光干渉断層計(OCT)を用い,網膜の機能評価には網膜電図を用いる.術後6ヶ月でそれぞれ眼球を摘出し,透過型電子顕微鏡にて網膜の微細形態を観察する.これらの実験モデルは他の組織シーラント(セプラフィルム®)での動物実験と同じ方法で行う(Teruya et al, Eye 2009;23:2256-9)
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