2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592555
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼井 智彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80282557)
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Keywords | 角膜血管新生 |
Research Abstract |
角膜の化学外傷は失明に直結する眼科の救急疾患の一つであり、遷延性の上皮欠損による感染のリスクや、血管新生や実質瘢痕による角膜透明性低下が大きな問題となっている。本年度は角膜アルカリ外傷モデルにおけるセマフォリン3a(Sema3a)の効果を確認した。マウスに0.15NのNaOHを滴下し、鈍的に角膜上皮細胞を剥離したマウス角膜アルカリ外傷モデルを作製した。このマウスに対してSema3aを10U, 100U, 1000U結膜下注射する群に分け、まず上皮の創傷治癒に対する効果を観察した。するとSema3aを投与しなかった群と比較して、100UのSema3aを投与した角膜では上皮の創傷治癒が有意に促進された。次に同様のアルカリ外傷モデルにおける 血管新生、リンパ管新生に対する影響を観察した。するとSema3aを100U投与した群ではそのほかのSema3a投与群やコントロールと比較して、有意に血管新生、リンパ管新生を抑制した。組織を観察すると、Sema3aを100U投与した群では、F4/80陽性のマクロファージの浸潤が有意に抑制され、ある濃度のSema3aの投与は角膜のアルカリ外傷時に組織の正常化を促進させることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角膜血管新生におけるセマフォリン3aの治療的効果が示され、将来創薬のターゲットとなる可能性が確認されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
セマフォリン3aの血管新生に対する影響をin vitro角膜血管新生モデルで確認する。また三叉神経への影響についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究推進方策に則り、次年度も引き続き検討を行う。実験に用いるのは主に実験動物や試薬関係であり、大きな変更はない。
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