2011 Fiscal Year Research-status Report
ラット専用光干渉断層計による緑内障関連モデルにおける網膜各層の構造的変化の解析
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23592557
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東出 朋巳 金沢大学, 大学病院, 講師 (20291370)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ラット / 網膜 / 光干渉断層計 / 緑内障 |
Research Abstract |
本年度は,エンドセリン(ET-1)硝子体内注入モデルにおいて、ET-1投与量と網膜障害の程度との関係、網膜神経節細胞(RGC)数と網膜各層厚との相関を検討した。ペントバルビタール(65mg/kg)の腹腔内投与による麻酔下にBrown-Norwayラット(10週齢、200~250g)の片眼の硝子体内にET-1を投与した。ET-1投与量は0.2、2,20、200 pmolとした。僚眼は無処置の対照眼とした。投与前、投与後1、2週においてラット専用光干渉断層計(OCT)を用いて視神経乳頭を中心とした半径500μmのサークルスキャンを行い、網膜全層、網膜神経線維層、網膜内層、網膜外層の厚みを計測した。さらに、ET-1注入2週後のOCT撮影後に両側上丘にfluorogoldを注入してRGCを逆行染色した後に網膜伸展標本を作製し、RGC数を定量した。その結果、ET-1投与前に比べて0.2、2.0 pmolのET-1投与では網膜各層厚に有意な変化はみられなかったが、20、200 pmol投与では、経時的に網膜全層厚、内層厚が菲薄化し、網膜神経線維層厚は2週後に菲薄化した。一方、RGC数は、ET-1 20、200 pmol投与眼では減少がみられた。網膜各層厚とRGC数との関係では、内層厚がRGC数と最もよく相関した。したがって、ラットET-1投与モデルにおいては、網膜障害を惹起する最小のET-1量は20 pmolであり、OCTにて網膜内層厚を評価できることが明らかとなった。これは、緑内障関連モデルであるラットET-1投与モデルにおける網膜保護効果をみるための最適な障害強度と生体内評価の方法を示した意義あるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初本年度に予定していた軸索障害モデルとして、部分的視神経損傷モデルの作製を試みたが、再現性のある障害条件を決定できなかった。そのため、24年度に予定していたRGC 細胞体傷害モデルであるET-1硝子体内投与モデルを先行させた。一方、25年度に予定していた各モデルにおける至適障害強度の決定については、ET-1硝子体内投与モデルにおいてそれを決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
軸索障害モデルとしての部分的視神経損傷モデルにおいて、再現性のある障害条件の決定をめざし、そのモデルを用いてOCTを用いた最適な生体内評価法を確立する。また、各モデルにおいて薬剤による神経保護効果の評価を試みる。さらに、現在使用しているラット網膜専用OCTの改良を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットET-1硝子体内投与モデルにおいて、本年度の研究により決定したET-1投与量と評価時点において薬剤による網膜神経保護効果を検討する。また、部分的視神経障害モデルの確立を引き続き試みる。さらに、現在使用しているラット網膜専用OCTの改良を試みる。平成23年度に使用を予定していた1,900,000円のうち78,342円が未使用となったが、これには、本研究の申請時に23年度の研究経費で購入を予定していたミクロトームが交付額を超えていたため購入を断念したことが要因として挙げられる。24年度にはこの78,342円を合わせた117,342円が上記研究内容の遂行に不可欠である。
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