2012 Fiscal Year Research-status Report
ラット専用光干渉断層計による緑内障関連モデルにおける網膜各層の構造的変化の解析
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23592557
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東出 朋巳 金沢大学, 大学病院, 講師 (20291370)
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Keywords | 光干渉断層計 / 網膜 / ラット / 緑内障 |
Research Abstract |
本年度は,エンドセリン(ET-1)硝子体内注入モデルにおいて、眼圧下降薬であるタフルプロスト点眼の神経保護効果を検討した。昨年度の検討により、ET-1 20pmolが網膜障害を惹起する最小硝子体内投与量であることが判明したため、この用量にて検討した。ペントバルビタール(65mg/kg)の腹腔内投与による麻酔下にBrown-Norwayラット(10週齢、200~250g)の片眼の硝子体内にET-1を投与した。2重盲検にてタフルプロストまたは生理食塩水の1日1回点眼を4週間行った(各群12匹)。投与後1、2、4週においてラット専用光干渉断層計(OCT)を用いて視神経乳頭を中心とした半径500μmのサークルスキャンを行い、網膜各層厚を計測した。その後、両側上丘にfluorogoldを注入して網膜神経節細胞(RGC)を逆行染色した後に網膜伸展標本を作製し、RGC数を定量した。その結果、ET-1投与後、両群ともに網膜神経線維層(RNFL)厚は投与前と比較して1週目に一旦肥厚し、4週後には菲薄化した。内層厚は2週後から菲薄化した。ET-1投与後、RNFL、内層ともにタフルプロスト群が生理食塩水群よりも有意に厚かった。RGC数は視神経乳頭中心から約1500μmの部位ではタフルプロスト群が生理食塩水群よりも有意に多かった。以上より、タフルプロスト点眼はラット眼においてET-1硝子体内投与による網膜障害を抑制することが明らかになった。本年度の成果は、われわれのラット専用OCTがラット緑内障関連モデルにおける神経保護効果の検討に有用であることを示した意義あるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初本年度に予定していた軸索障害モデルとしての部分的視神経損傷モデルの作製および評価について、OCTの改良(スペクラトルドメイン化)が技術的な問題のために遅れたために遂行できなかった。しかし、RGC 細胞体傷害モデルであるET-1硝子体内投与モデルについて、タフルプロスト点眼による神経保護効果の検討を行うことができた。これは、当初25年度に行う予定であったが、これを前倒しして遂行することができ、われわれのOCTシステムがラット緑内障関連モデルにおける網膜保護効果のin vivoでの検討に有用であることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
眼科臨床でのOCTは、タイムドメインからスペクトラルドメインへ撮像原理が変わることによって飛躍的に性能が向上した。われわれのラット網膜専用OCTは現在タイムドメインであるが、スペクトラルドメイン化することによって画像取得、データ解析の点でも効率化が期待できる。このOCTの改良を本年度中に完了し、緑内障関連モデルでの有用性を検討していきたい。また、軸索障害モデルとしての部分的視神経損傷モデルにおいて、再現性のある障害条件の決定をめざし、そのモデルを用いてOCTを用いた最適な生体内評価法を確立する。また、各モデルにおいて薬剤による神経保護効果の評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に13,665円の未使用額が発生したが、これは効率的な予算執行により端数が生じ未使用額となったためである。これと次年度の研究費を合わせて、現在使用しているラット網膜専用OCTの改良(スペクトラルドメイン化)を完成させる。それを利用してラット緑内障関連モデルでの有用性を検討する。軸索障害モデルとしての部分的視神経損傷モデルの作製および評価について、引き続き検討する。
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Research Products
(1 results)