2011 Fiscal Year Research-status Report
滲出型、萎縮型加齢黄斑変性への小胞体ストレスの関与とそれを標的とした治療法の開発
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23592563
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加地 秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30345904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207478)
近藤 峰生 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80303642)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 網膜色素上皮 / 網膜 / RPE / 血管内皮増殖因子 / VEGF / 脈絡膜新生血管 / CNV |
Research Abstract |
ツニカマイシン存在下に培養網膜色素上皮細胞を培養し、培養液中のVEGFなどのサイトカイン、細胞ライセート中のGRP78などの小胞体ストレスマーカーの検出を行った。GRP78, CHOP, procaspase 4の発現増加と、活性型であるcleaved caspase12の増加がみられ、小胞体ストレスが検出可能であることわかった。VEGF, TNFα, IL, PDGFなどのサイトカインについてはクオンシス社のQ-Plex ELISAアレイを用いて検討したが、ばらつきが大きく、キットを変更して再度検討する予定である。またマウスレーザー脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、治療効果判定のための予備実験を行った。レーザーによるブルッフ膜穿孔後に0.5 ugの抗VEGF抗体(Ab)またはPBSを硝子体腔に注入し、7日後に眼球を摘出、固定後にレクチン染色にて血管内皮細胞を染色した。脈絡膜フラットマウントを作成し、共焦点顕微鏡により、CNVの容積と再大面積を測定した。CNVの容積はAb群は319992.8±42093.1 um3、PBS群は478718.6±55642.4 um3であった。CNVの最大面積はAb群で33716.5±4763.13 um2、PBS群で44998.8±3403.3 um2 であり、両者の間に有意な差が検出できた(それぞれp=0.034、0.043;Mann Whitney U test)。また、CNVの容積と最大面積の間にはAb群、PBS群いずれにおいても相関関係があった(それぞれp<0.001, =0.85、p=0.013, =0.85, =0.59;Spearman rank correlation coefficient)。これによりCNV実験の手技が確立し、来年度以降に本実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加齢黄斑変性患者からの脈絡膜新生血管(CNV)抜去の頻度は減少しており、今回サンプルを入手することはできなかった。またNational Disease Research Interchangeからの加齢黄斑変性眼の入手についても日本における窓口である特定非営利活動法人エイチ・エー・ビー研究機構を通じて提供をうける予定であるが、今のところ入手できていない。そのため、25年度に実施予定であったレーザーCNVモデルマウスの予備実験を前倒しで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きヒトサンプルを入手し、小胞体ストレスの存在を証明すべく、手配を続ける。また、それが入手できない間の方策として、後眼部にアミロイドβの沈着をおこすモデルマウスを用いて、実験、検討を行う。具体的には血管内皮細胞に存在するCaveolin1のノックアウトマウスは脳にアミロイドβの沈着をおこすことが報告されている。このマウスはJackson Labより購入可能であり、このマウスの眼球の組織学的検討によりアミロイドβの沈着を証明し、この後眼部サンプルを用いてin vivoでの小胞体ストレスの存在を証明する。また、それに伴うVEGFの発現、視細胞の変性、そして加齢に伴う血管新生の有無についても検討を行う。また、それ以外の炎症に関わる遺伝子改変マウスなどについても検討を行う。引き続き培養細胞を用いたin vitroの実験、レーザーCNVモデルマウスを用いた実験については計画通りに行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際の研究に必要な物品は消耗品であり、当初の申請通りの研究費配分で研究費を使用していく計画である。
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