2012 Fiscal Year Research-status Report
視神経変性における網膜・視神経のアクアポリンの局在変化と網膜神経節細胞死への関与
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23592568
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 誠 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80273788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 章泰 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10444572)
根木 昭 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00189359)
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Keywords | アクアポリン / 網膜神経節細胞 / 乳酸 / 緑内障 / 視神経変性 / 活性酸素 / 水輸送 |
Research Abstract |
以前我々は、アクアグリセロポリンの一つアクアポリン9(AQP9)が網膜神経節細胞(RGC)の細胞体に発現し、高眼圧によりその発現が低下することを報告した。しかし、AQP9発現低下がRGC死の原因であるか、共変動しているだけなのかは不明であった。そこで、培養RGC5細胞に血清除去によりアポトーシスを誘導し、AQP9発現変化をRT-PCR・免疫染色・Western blottingで定量した。またsiRNAでAQP9発現をノックダウンし、RGC5細胞の細胞死への効果を見た。次いでAQP9 ノックダウンによるRGC5細胞の活性酸素産生とNAD+/NADH比に及ぼす影響を検討した。血清除去はRGC5細胞のAQP9発現を遺伝子・蛋白レベルで減少させた。AQP9の発現低下はRGC5細胞死ならびにcaspase3活性を増加した。またAQP9のノックダウンにより、RGC5細胞の活性酸素は増加し、NAD+/NADH比は低下した。 次にラット視神経挫滅のRGCにおけるAQP9発現変化とRGC細胞死の時系列対応を検討した。無処置のラットではAQP9発現はRGCの細胞体に限局していたが、視神経挫滅後3日で、発現細胞数は低下するとともに、発現部位も細胞周囲へ移行していた。この時期にはRGC数に有意な減少はなかった。挫滅後7日ではRGC数は著明に減少し、AQP9発現も大幅に低下していた。 近年、ブドウ糖のみならず、解糖系から産生される乳酸も神経細胞のエネルギー基質として利用されることが知られるようになった。AQP9は水分子以外に乳酸等の溶質も輸送する。RGC死に先行してAQP9発現が低下すること、ならびにAQP9のノックダウンがRGC死を増加させることから、AQP9がRGC死の生存に重要な生理的役割を担っていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養網膜神経細胞によってAQP9発現の生理的意義を検証できており、また視神経挫滅モデルによって、RGCにおけるAPQ9の生存維持の役割を普遍的に検証できている。
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Strategy for Future Research Activity |
AQP9による乳酸輸送がRGCの生存にcriticalな影響を及ぼしているか、乳酸がRGCのエネルギー基質として働いているかを実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RGC5細胞を通常濃度のブドウ糖(+glucose)濃度環境に加えて、ブドウ糖を除いた(-glucose)環境、L型乳酸で代用した環境、D型乳酸で代用した環境で培養し、血清の有無による細胞死、アポトーシスの割合、AQP9発現を定量する。次いで、上記の条件下で、AQP9をノックダウンし、RGC5細胞死への影響を検証する。
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Research Products
(7 results)