2012 Fiscal Year Research-status Report
神経ー角膜上皮細胞の共培養システムによる神経麻痺性角膜症の病態解明
Project/Area Number |
23592571
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高 知愛 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任講師 (70314797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近間 泰一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (00263765)
園田 康平 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294943)
|
Keywords | 眼細胞生物学 |
Research Abstract |
本研究は神経麻痺性角膜症の病態の解明と治療法の開発を究極の目的とし、神経細胞がどの様に角膜細胞の分化、あるいは機能に関与し、制御を行っているかを明らかにしようとする研究である。最終的には神経麻痺性角膜症を始めとする角膜上皮創傷における神経細胞、または神経性因子(分泌因子)を同定、そのメカニズムを解明しようとするものであります。 その為に、まず、前年度までには株化神経細胞(PC12)を用い、in vitro系で角膜細胞と共培養を試み、その両者の共培養に成功しています。まず、株化神経細胞と角膜実質細胞との共培養により、角膜実質細胞内で角膜創傷治癒過程に、あるいは、実質細胞層の再構築に重要な働きをするMMP-1の発現が増加し、同時に、創傷治癒過程で重要な働きをする炎症性サイトカインIL-6の分泌も増加することを明らかにしました。一方、角膜上皮細胞との共培養では、神経細胞の存在が角膜上皮細胞の生理的重要な機能であるバリアー機能のための上皮細胞の重層化の促進が見られることを明らかにしました。次に、実際のin vivoでの神経細胞との共培養を試み、ラットから三叉神経細胞を分離し、角膜上皮細胞との共培養に成功し、三叉神経の有りで、角膜上皮細胞での重層化が顕著に促進されることを見出しました。更に、その三叉神経細胞から分泌される、ニューローペプチドである、Substance P,または、CGRPがその角膜上皮細胞での重層化を促進させる効果はあることを明らかにしました。今後、さらに、新しい治療開発への基盤を提供出来る様にもっと詳細なメカニズムなどを明らかにする必要性があると考えられます。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は現在までおおむね達成できていると評価できると考えられます。 その根拠としては、まず、申請時、初年度の研究計画である株化神経細胞と角膜細胞の共培養の確立させた上に、その次のステップである、in vivoでの神経細胞、三叉神経細胞を直接取り出して、角膜上皮細胞との共培養に成功しており、その培養の条件(培養液、細胞の密度、培養時間など)も確立されつつ、今までに不可能とされていた、プライマリー神経細胞と角膜細胞の共培養を成功させています。さらに、その培養の条件から神経細胞から分泌され、角膜上皮細胞に影響を与えているファクターを同定できており、当初の計画どおりに進行できていると考えられます。この様な実績は学会、投稿論文にての発表による報告も行っております。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進み方としては、まず、今まで得られた結果を元にさらに、共培養系を工夫し、神経細胞(三叉神経)と角膜上皮細胞、実質細胞、3者が揃った培養系を確立させて、試験管内での角膜細胞の構築モデルを確立し、様々な状況、病態に対するメカニズムを解明できる実験系を作って行きたいと思っています。 さらに、三叉神経の有、無に伴う炎症性サイトカイン、あるいは成長因子などの変化もBio-Plexなどの手法を用いて明らかにし、角膜創傷治癒の過程で有効に応用出来る様に解明して行きます。また、共培養の条件で酸素の影響も解明していきます。これは、角膜上皮が外界の大気に接触することは角膜上皮細胞の分化、重層化に重要なことであると考えられると共に神経細胞にとっても酸素の影響は避けられない重要なファクターであるからであります。共培養で、異なる酸素濃度に暴露し、酸素の影響による神経性因子の角膜細胞に対する制御を明確にします。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はこの申請研究の最終年度であるため、今までに得られた結果をまとめ、社会、国民に発信するため、様々な学会での発表(旅費)、論文に仕上げ国際詩に発表(その他;校閲)のため、研究費を申請させて頂きたいと考えています。
|
Research Products
(5 results)