2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592578
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
直井 信久 宮崎大学, 医学部, 教授 (50211412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中馬 秀樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20244204)
小澤 摩記 宮崎大学, 医学部, 助教 (00433061)
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Keywords | 網膜 / 色素変性 / 網膜変性 |
Research Abstract |
今年度はまず臨床的には網膜変性の患者において、優性遺伝形式、劣性遺伝形式の患者の遺伝子解析を行った。遺伝子解析は理研とタイアップして行った部分もあるが、ペリフェリン/RDS遺伝子異常、クリスタリン網膜症(Bietti crystalline retinopathy)家系でのCYP4 V2遺伝子異常などを見出した。X連鎖性網膜色素変性症の患者ではこれまでにRPGR遺伝子、exon ORF15領域に加え、RP2遺伝子も加え遺伝子検索を行った。また、以前見出した先天性網膜分離症のRS-1遺伝子変異を持つ家系での硝子体手術を行ったことを報告したが、そのフォローアップも行い、視力の低下を抑制することを見いだした。 網膜機能を大きく減弱させる網膜症として未熟児網膜症に着目し、ベバシズマブを投与することにより光凝固を行わなくとも、未熟児網膜症を治癒させることができることを報告し、さらに術後の視機能が光凝固眼よりも優れている可能性についても検討した。 また、本教室をあげて取り組んだ前部虚血性視神経症の実験モデルラットにおいてSTRを記録し、神経節細胞などの網膜内層機能を電気生理学的に計測することに成功して報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は色素変性家系での家系調査、および希望者での血液採取などは順調に進んでいる。今後今までの解析で変異を見いだせなかった症例において、DNAチップと次世代シークエンサーを用いた新しい解析でさらに網羅的に解析を進める予定であるが、そのための準備も進んでいる。 Yeast two-hybrid strategyを用いたRPGRタンパクと相互作用をもつタンパクの発見およびRPGRタンパクの機能解析も順調に進行中である。 電気生理学的研究ではラットにおける網膜内層の機能を解析することを始めたが、暗順応を深く行ったSTR波を安定的に記録することも成功しており順調に進行中であると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)RPGRタンパクの発現と局在の解析 ポリクロナルとモノクロナルの両方の抗体を用いてRPGRタンパクの発現と細胞内局在を決定する。これには成熟した網膜と胎児も含めた発達期網膜を用いて比較する。 (2)RPGRタンパクと相互干渉を起こし複合体を形成するタンパクの同定と機能の解明 まずyeast two-hybrid strategyを用いてRPGRタンパクと相互干渉を起こすタンパクを見出す。次にGSTプルダウンアッセイとco-immunoprecipitation 分析を用いて相互作用を特定する。またイムノアフィニティ抽出を用いるクロマトグラフィで網膜よりRPGRを含んだ複合物を抽出し、その生化学的性質を調べる。 (3)RPGRのconditional null mutationマウスを用いたRPGRタンパクの機能解析 Cre/loxシステムによる視細胞や網膜色素上皮のコンディショナルなノックアウトマウスを用いてRPGRの生物学的な機能を解析する。 (4)臨床患者におけるRPGR遺伝子の分子生物学的、電気生理学的解析 RPGR遺伝子異常をもつ色素変性症はキャリアの近視が強く、表現型にも特徴があるので、標準化された網膜電図、黄斑機能を解析するための黄斑局所網膜電図、多局所網膜電図を組み合わせて、RPGR遺伝子変異がある群と無い群で電気生理学的な差異が見られるかどうかも調査する。 (5)暗順応を長時間行ったラットにおいてSTR波を記録し、網膜変性モデル動物で網膜内層機能を含めた電気生理学的検査を施行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は購入予定であった機器が中央管理の機械を借用することにより、その分を繰り越すことができ、次年度に使用可能となった。来年度は最終年度であるため、いままで採取した血液の遺伝子解析などの消耗品代がかさむことが予想されるために、繰り越し分はそれに充てる予定である。
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Research Products
(33 results)