2011 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性における網膜色素上皮細胞の危機感知機能の解析
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23592580
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
羽室 淳爾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80536095)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / サイトカイン / 網膜色素上皮 / マクロファージ |
Research Abstract |
世界に先駆け提唱した「組織炎症におけるマクロフアージ(Mps)機能の相転移制御」概念に基づき、脂質蓄積の著明な網膜下組織に焦点を当て、Mps相当機能を有する網膜色素上皮細胞(RPE)機能の相転移制御法を模索する。RPEと脈絡膜浸潤Mps間の双方向的相互作用により遷延化する網膜下組織炎症を加齢黄斑変性(AMD)病態の本質と捉え、相転移によるRPEの貪食能低下に係る分子病態の視軸から解析する。枯死細胞の貪食を介して組織恒常性を保つ RPEの基本機能が如何なる局所微小環境因子により貪食能低下に繋がるかを解明し、相転移に係る分子標的を明らかにすることで本変換の特異的制御法を考案しAMDの革新的医療の礎を切り拓く。今年度、我々はMpsの相転移を特異的に制御する化合物を探索した。本変換制御のために、活性化Mps選択的枯死阻害剤などを用いた。本実験に使用するMpsはマウス腹腔内より採取し、培養環境下にてlipopolysaccaride(LPS)にて刺激した。LPSにてTNF-alphaを産生する炎症性マクロファージを誘導し、Mps選択的枯死阻害剤を使用したところ、TNF-alphaの産生を阻害し、同時にTNF-alpha産生Mpsを選択的に障害した。障害はアポトーシスにより誘導されたものであることが考えられるが直接的な証明は現在認めていない。次回In vitroにて証明できた薬剤をマウス個体に注入(投与)し、研究を行う予定である。モデルは角膜血管・リンパ管新生モデルを使用する。角膜縫合を行った後、角膜を免疫染色しMpsの浸潤と、Mpsより分泌されるサイトカインを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在すでにMps選択的枯死阻害剤などを用いた研究にて、TNF-alphaを分泌するMpsを選択的に障害することが可能になっている。すでに現在In vivoモデルへ応用するところである。
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Strategy for Future Research Activity |
(I)脈絡膜病態進展と共にRPEならびにMpsの機能が酸化型から還元型(RMp)に変換するか確認する。モデルマウス(レーザー照射モデル、ケモカイン受容体遺伝子欠損マウスなど)のRPEと網膜下炎症巣に浸潤するMpsを対象にする。(II)網膜下のドルーゼン構成候補物質のRPE /Mps相転移に及ぼす影響を検討する。最終糖化産物AGE、アミロイドA蛋白、LDL,脂肪酸、C3bBb複合体,血清アミロイドA3などを候補物質とする。脈絡膜組織のRPE、Mpsに及ぼすATPなどの内因性ヌクレオチドやRPEの枯死、壊死残滓のMps機能の相転移に及ぼす影響を解明する。(III)RPE /Mpsの相転移を特異的に制御する化合物を探索する。本変換制御のために、PPAR活性化剤、Rhoキナーゼ阻害剤、活性化Mps選択的枯死阻害剤などを用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オートMACSでMpsを精製し、脈絡膜浸潤Mps亜集団の同定はF4/80,CD11c, IL-10,SR(scavenger receptor)などの表面マーカー検定と共にMGL, Mincle, CCR2,CX3CR1,IL-1Rなどの発現を免疫組織染色で検討し病態段階とMps機能変換の対応付けを行う。TNF-, CCL2,IL-10, IL-6, NOS2,Arginase, FasL, MMP2,PAI-1等の発現状態もPCR法で検定する。組織局所におけるMpsの枯死、視細胞外節の貪食能の検定はRPEと対比させる形で試みる。病態動物としては自然発症 CX3CR1, CCR2, CCL2マウスを用いる。展開によりTLR4, TLR2、TLR3KOマウスなどを用いる可能性もある。RPEの相転移の可能性も上記細胞膜形質で検定する。病態や視細胞外節病変の判定には組織のHistologyに加え脈絡膜を含む網膜下組織視覚法を駆使する(連携研究者古泉)。即ち スペクトルドメインOCT、AF-SLO, ERG, Fluorescence fundus angiographyなどを用いる。
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