2011 Fiscal Year Research-status Report
1000Kチップでの落屑緑内障ゲノムワイド関連解析による日本人固有SNPの同定
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23592582
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
池田 陽子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00433243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
田代 啓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10263097)
森 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40252001)
中野 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70381944)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 緑内障 |
Research Abstract |
1.サンプルの収集すでに落屑緑内障症例のゲノムサンプルは現在200例を超えているが、引き続き収集を行っている。落屑緑内障の診断には、熟練した緑内障専門医があたっている。具体的には、視野異常を来している緑内障症例の中で、瞳孔縁や水晶体嚢に付着する落屑物質を確認し、隅角検査での色素高位付着も参考に診断を行い、書面による同意を得た。一方正常コントロール症例については800名以上のゲノムを入手した。コントロールはボランティアを募り、視野(FDT、ハンフリー静的視野)、眼底写真、HRT、GDx、ペンタカム、ビサンテ、3DOCTによる網膜神経線維層厚解析等を施行し、緑内障専門医が診察を行い、複数の緑内障専門医が判定を行った上、緑内障がないと判定した症例から問診上の緑内障家族歴のあるものを除いた症例を厳正に選別した。2. 1000KチップによるSNPジェノタイピング情報の取得本年度は、現有している落屑緑内障症例のジェノタイプ情報の取得にも着手した。匿名化された血液検体からゲノムDNAを抽出し、NanoDrop(Thermo Scientific社)による収量と品質の検定を実施した。検定をクリアした検体については、アフィメトリクス社のGenome-Wide Human SNP Array 6.0システムを用いてヒト全ゲノムにわたる900,000個以上のSNPのジェノタイピングを実施した。現在は、マイクロアレイをスキャンして得られた膨大な生データを専用ソフトウェアによりジェノタイプ情報に変換しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都府立医大緑内障専門外来にもともと通院している落屑緑内障はほぼ同意を得た患者については同意およびゲノム取得でき、その後新規患者として受診する患者については、月平均4例程度増加している。症例すべてが本研究の趣旨に同意してくれるわけではないが、おおよそ9割以上同意をしてもらっており、ゲノムサンプル取得できている。正常対象ボランティアの緑内障精密検査参加者も月平均12例程度増加している。正常ボランティアは参加者のリクルートがなかなか難しい問題ではあり、また疾患対象年齢よりも若いことが多いので、できるだけ高齢者への参加の呼びかけをして疾患との年齢に開きができないように心掛けた結果、60代以上の正常参加者が増えた。ジェノタイプデータについては、現有している落屑緑内障症例を用いたマイクロアレイ実験を開始し、ヒト全ゲノムにわたる900,000個以上の生データの取得を終え、現在はジェノタイプデータに変換中である。マイクロアレイ実験からジェノタイプ情報の取得に至る一連のプロセスは、現有のサーバーシステムにより順調に稼働している。なお、正常対照群のジェノタイプデータについては、他のゲノム解析プロジェクトと共用しており、既にSNPデータを取得済みであることから、次年度のケースコントロール解析に向けて順調に推移していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ケース・コントロール相関解析マイクロアレイ実験データから変換されたジェノタイプデータを専用サーバーに注入後、call rateやマイナーアレル頻度(minor allele frequency, MAF)の厳格なフィルターを設定し、高品質なデータを抽出する。抽出されたデータについて、ジェノタイプおよびアレル頻度に基づくχ二乗検定によりP値を算出し、ケース群で有意なSNPを同定する。同定された上位のSNPについては、Hardy法則への適合を検証すると共にクラスター画像をチェックし、クラスター不良のデータは排除する。すべてのフィルターをクリアしたSNPについては、そのSNP周辺の染色体情報(遺伝子の有無や連鎖不平衡ブロック)をUCSCのゲノムブラウザ(http://genome.ucsc.edu/)を用いて解析する。2. 別集団を用いた上位SNPの再現性の検証本学附属病院にて継続的に収集している落屑緑内障症例と正常対象ボランティア由来の検体を用いてゲノムワイド関連解析で同定した上位の有意SNPについて再現性の検証を行う。各群50例ずつの血液検体からゲノムDNAを抽出し、ダイレクトシークエンス法にて各SNPのジェノタイプデータを取得する。取得したデータをもとに各SNPのジェノタイプおよびアレル頻度を算出し、χ二乗検定に基づくケース・コントロール相関解析を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き行う落屑緑内障および正常対象のゲノムデータ取得のための、試薬などの処方品について20万円要する。 国内および海外での競合する遺伝子研究の情報収集や、発表のための参加費用として30万円要する。ゲノムデータ解析に必要な補助要員の謝金など60万円要する。この補助要員については、緑内障病型診断などに必要な緑内障精密検査にあたる検査員雇用費用40万円、ゲノムデータ解析のデータ整理にあたる事務補助要員雇用費用20万円を想定している。ジェノタイピングの解析に用いる機械のメンテナンス料として20万円要する。
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Research Products
(12 results)