2011 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉系移行を標的とした脈絡膜悪性腫瘍の浸潤・転移抑制治療の開発
Project/Area Number |
23592583
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 才一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60316106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50264891)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 脈絡膜 / 悪性腫瘍 / 上皮間葉系移行 |
Research Abstract |
脈絡膜悪性黒色腫4症例の摘出眼球のパラフィン切片で免疫蛍光染色を行った。使用した一次抗体は、Eカドヘリン、ビメンチン(共にSanta Cruz社)、ファイブロネクチン、IV型コラーゲン、PCNA(共にSouthern Biotechnology社)、ラミニン(Sigma社)、リン酸化Smad2(Cell Signaling社)であった。脈絡膜悪性黒色腫標本で、腫瘍内で比較的分化度の高い領域と紡錘型に伸張した細胞が増殖している比較的未分化な細胞の領域が判別できる標本が2症例であった。1例の脈絡膜悪性黒色腫では、分化型の細胞の集族からなる組織像、1例では、約80%が無色素性の細胞の集族を呈した。分化度の低い部分(細胞が伸張している領域)では、高い領域と比較して、細胞内のビメンチン、細胞間のファイブロネクチンの染色が強い傾向であった。IV型コラーゲンは正常組織の血管や基底膜領域の染色が観察されたが、腫瘍内では、細血管と思われる部分に染色が観察された。分化度の低い細胞が繊維芽細胞様の領域に血管様構造が多いようであった。同様にpSmad2とPCNAも共に分化度の低い細胞が繊維芽細胞様の領域で腫瘍細胞の核に一部、染色性を認めた。網膜剥離下に散布されている円形の黒色細胞(腫瘍細胞と思われる)はビメンチンに染色されなかった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脈絡膜悪性黒色種での眼球摘出に至る症例数に研究が依存するため、研究の進展が予定を遅れている。摘出眼球のパラフィン切片の収集を計りたい。研究者らが作成したSmad2/3ミドルリンカーリン酸化に対する抗体が、凍結切片で反応する者の、パラフィン切片で反応しなかったため、この評価が行えなかった。以降、当該施設での悪性黒色腫の眼球摘出術では、この抗体に限らず腫瘍の悪制度の評価による予後の検索として凍結切片による免疫組織化学も併用したい。悪性黒色腫細胞COLO679のマウス眼内注入による腫瘍形成実験で、評価に耐える均一なものを確立できなかった。研究申請時の記載のもう一法である皮下移植での評価に主眼を置きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
脈絡膜悪性黒色種での眼球摘出に至る症例数に研究が依存するため、研究の進展が予定を遅れている。摘出眼球のパラフィン切片の収集を計りたい。研究者らが作成したSmad2/3ミドルリンカーリン酸化に対する抗体が、凍結切片で反応する者の、パラフィン切片で反応しなかったため、この評価が行えなかった。以降、当該施設での悪性黒色腫の眼球摘出術では、この抗体に限らず腫瘍の悪制度の評価による予後の検索として凍結切片による免疫組織化学も併用したい。悪性黒色腫細胞COLO679のマウス眼内注入による腫瘍形成実験で、評価に耐える均一なものを確立できなかった。研究申請時の記載のもう一法である皮下移植での評価に主眼を置きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ルミカン、オステオポンチン、テネイシンノックアウトおよびワイルドタイプマウスの皮膚下に悪性黒色腫の培養細胞を移植する。皮膚下に作製した腫瘍径を計測し経時的変化を観察する。腫瘍と周辺の組織を摘出し、パラフィン切片を作成し、免疫組織学的検討を行う。抗体は、細胞外マトリックス(オステオポンチン、テネイシンC,フィブロネクチン、インテグリンなど)、増殖系シグナルのマーカー(Erk-1及びBrdU)および各種サイトカイン(TGF-β、Smad2,3,4,7、pSmad3C, 3L, 2Cなど)を用いる。血管形成に対する影響は、抗CD31抗体で、リンパ管形成に対する影響は、抗体(Anti-Human Podoplanin Monoclonal Antibody NZ-1)で評価する。腫瘍からtotal RNAを抽出し、real-time RT-PCRで各種遺伝子発現について成長因子関連を中心に検討する。発現パターンに変化が検出されたRNAについては、ジゴキシゲニンを使用したin situ ハイブリダイゼイションで組織内の発現パターンを評価する。各種シグナル関係の評価は、腫瘍のパラフィン切片と腫瘍組織でのreal time RT-PCR法、免疫組織化学とwestern blotで培養細胞の場合と同様に検討する。Apoptosisについては、TUNELとDNAラダーで検討する。 ついで、SKIDマウスに培養細胞株を皮下に移植し、α4、α9インテグリン中和抗体あるいは細胞外マトリックス投与群と非投与群で腫瘍径の計時変化計測を行う。その後の形成された腫瘍の増生の評価、腫瘍細胞の正常評価は上記同様に行う
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