2013 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉系移行を標的とした脈絡膜悪性腫瘍の浸潤・転移抑制治療の開発
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23592583
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 才一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60316106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50264891)
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Keywords | 悪性腫瘍 / 上皮間葉系移行 / 脈絡膜 |
Research Abstract |
脈絡膜悪性黒色腫症例の摘出眼は6症例である。パラフィン切片で免疫蛍光染色を行っている。今回追加した症例も含めてβ-cateninの一次抗体を使用した。腫瘍の発生過程にはTGF-β/Smad系が関与しているが、それとクロストークすると考えられるWnt/β-catenin系の発現を検索した。Wnt/β-カテニン経路は、脊椎動物と無脊椎動物の発生における細胞の運命の決定を調節する。Wnt/β-カテニン経路は、多くの異なる型の細胞や組織において、レチノイン酸、FGF、TGF-β、及びBMPなどの他の多くの経路からのシグナルを集約しているもので、その検討が腫瘍発生に関係する。すべての症例においてβ-cateninの発現が認められた。このことによりβ-cateninが腫瘍発生に関与することが示唆され、今後の腫瘍の発生や治療方針を予測する有用な分子マーカーになると考えられた。 β-cateninの器官形成に関する影響を検討する目的にて、βcatenin遺伝子exon領域floxマウスを利用して検討を行った。方法として、それぞれのマウスを交配させることにより胎児での検討を13.5日15.5日17.5日の眼および眼瞼の組織切片を組織学的および免疫組織学的に検討した。胎生15.5に以降でβ-catenin免疫染色陽性の腫瘍様結節形成や細胞の分裂亢進を認めた。このことにより細胞の異型性もしくは癌化にβ-cateninが関与することが示唆された。 今回、ヌードマウスに発生した眼腫瘍モデルの組織学的検討も行い、細胞外マトリックス(オステオポンチン、テネイシンC,X、フィブロネクチン、インテグリンなど)、増殖系シグナルのマーカー(Erk-1及びBrdU)陽性所見が認められた。 また、腫瘍の切片上でRT-PCR 反応を行い,標的分子を増幅した後,ジゴキシゲニンを標識した相補的プローブの取り込み量を免疫染色で発色して、腫瘍組織内に発現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脈絡膜悪性黒色腫での眼球摘出に至る症例に研究が依存するために、症例数が増加していない状況も含めて進展がおくれており、さらなる摘出眼球の症例収集を計っている。 悪性黒色腫細胞(COLO)マウス眼内注射による皮下移植での評価に研究を主眼におているが、徐々にであるが、腫瘍発生しているがそこも含めて経過観察している
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Strategy for Future Research Activity |
α4、α9インテグリンは種々の細胞外マトリックス成分の受容体として働き、炎症細胞や血管内皮細胞の遊走・増殖に重要な役割が知られている。それらインテグリンの中和抗体とルミカン、オステオポンチン、テネイシンなどの細胞外マトリックスの中和抗体を悪性黒色腫の培養細胞株に投与することにより、その細胞の遊走・増殖能や各種シグナル物質を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度に使用予定の抗体、細胞シートなどの購入のために次年度に持越し予定である ELISAキットの購入、使用抗体の購入に使用予定
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