2011 Fiscal Year Research-status Report
赤色・青色光刺激による家兎対光反射とメラノプシンの関与
Project/Area Number |
23592586
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石川 均 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80265701)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | メラノプシン / 神経節細胞 / 対光反射 |
Research Abstract |
有色家兎の対光反射とメラノプシン含有網膜神経節細胞(melanopsin containing retinal ganglion cells: mRGC)の関係を生理学的、組織学的方法を用い検討した。家兎の対光反射は1時間の暗順応後、赤外線電子瞳孔計(浜松ホトニクス)を用い測定した。赤色刺激(670nm, 250cd/m2)にて20±5%の縮瞳を、一方、同様の強さの青色刺激(470nm)では67±4%と有意に大きく縮瞳した。その後、硝子体内に神経伝達阻害物質を注射(薬物投与群)し対光反射を測定すると、赤色刺激による対光反射は無反応となった。さらに薬物投与群の網膜電図(electroretinogram:ERG)は平坦化し(non-recordable)、視細胞の破壊が示唆された。しかし青色刺激では23.7±6.8%の縮瞳が残存した。組織学的に両群の網膜を比較するとコントロール群では視細胞、双極細胞、神経節細胞さらに神経線維の配列が規則的であり、網膜神経節細胞は大型(円形、多角形)、小型の全3種類の細胞が観察された。電顕水平断にて5%程度の錐体も観察され、赤色刺激の起源と考えられた。一方、薬物投与群では視細胞層の萎縮が著しく内顆粒層が色素上皮へ向かって落ち込む像が認められたが網膜内層の神経節細胞は比較的保たれており青色刺激による反応の残存との関連が示された。家兎の対光反射の起源は杆体が主であり、一部錐体が関与すると考えられてきた。しかし視細胞が障害された薬物投与家兎でも470nmの強い青色光刺激にて対光反射が維持された。組織学的には一部の網膜神経節細胞は残存していた。網膜神経節細胞のうち大型、多角形のものは、近年発見されたmRGCであることが報告されている。今回の実験から家兎においても470nmで強い青色光刺激にてmRGCが刺激され、対光反射が誘発されたことが強く示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
23年度は家兎視覚機能の基本部分、すなわち対光反射測定の為の暗順応時間や刺激の最適波長等を測定する計画であった。実験は非常にスムーズに進み現在、コントロール家兎(Wild type)以外、硝子体内に神経伝達物質阻害薬を注射した家兎のデータも集まりつつある。結果は赤外線電子瞳孔計を用いる以外、網膜電図の結果、さらに光顕、電顕両者の組織結果も揃い、生理学的実験の結果と組織実験の結果を比較する事まで可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
家兎の網膜神経節細胞の組織所見をHRPを中脳に注射し逆行性に調べること、さらに免疫組織染色(抗TUJ-1抗体)を用い染色し、メラノプシン含有網膜神経節細胞の形態的特徴を検討する。また硝子体中にテトロドトキシンを注射し選択的に網膜神経節細胞を破壊し対光反射への影響を調べる。最終的にトランスジェニック家兎を用い、その対光反射、組織学的特徴を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
色素家兎、白色家兎、TG家兎の購入、試薬の購入
|