2012 Fiscal Year Research-status Report
赤色・青色光刺激による家兎対光反射とメラノプシンの関与
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23592586
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石川 均 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80265701)
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Keywords | メラノプシン / 網膜神経節細胞 / 対光反射 / 変異型ロドプシン遺伝子トランスジェニック家兎 |
Research Abstract |
平成22年度には、我々は正常有色家兎硝子体内へ神経伝達阻害薬を注射し、網膜電図(ERG)、対光反射を測定し、最終的に眼球を摘出、網膜組織を観察した。その結果、ERGは平坦化し、かつ組織学的に視細胞の破滅が確認された家兎でも強い(250cd/m2)青色光刺激(470nm)によって対光反射が生じた。 平成23年度では、薬剤投与家兎に加え、変異型ロドプシン遺伝子トランスジェニック(TG)家兎(Kondo M et al . Invest Ophthalmol Vis Sci 50, 2009)を用い、経時的にERG、対光反射を測定したのち眼球を摘出、網膜組織を観察した。組織はHRPを家兎中脳へ注射し、逆行性に網膜神経節細胞(RGC)を染色、さらに免疫組織染色(抗TUJ-1抗体)を施しRGCを確認した。ERGは経時的にa波、b波ともに減弱し、最終的には平坦化した。さらに赤色光刺激による瞳孔反応は19週ではすでに消失、青色光刺激による瞳孔反応も徐々に縮瞳率は低下し、かつ不安定となり19週では18%、40週で13.2%、56週では9.2%へ縮瞳率が減弱した。瞳孔反応のパターンも変化し、刺激によりゆっくりと縮瞳し、かつその縮瞳が光刺激消失後も持続する波形となった。組織学的には,視細胞層は完全に萎縮していた。さらに網膜神経節細胞は形態学的に3種類(円形大型、円形小型、多角大型)が確認され、一部変性が始まっていたが視細胞と比較し温存されていた。家兎の対光反射は杆体が主な起源であり、一部錐体が関与すると考えられてきた。しかし、以上の結果から視細胞が障害された家兎でも470nmの強い青色光刺激にて対光反射は維持された。すなわち家兎においても470nmで強い青色光刺激にてメラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)が存在し、mRGCの刺激にて対光反射が誘発されたことが機能的にも形態学的にも証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度はコントロール家兎(Wild type)の硝子体内に神経伝達阻害薬を注射し視細胞の伝達を遮断した家兎、さらに変異型ロドプシン遺伝子トランスジェニック(TG)家兎の対光反射、網膜電図を記録した。さらに組織学的には視細胞は通常の染色後、光顕、電顕両者にて観察。また特に網膜神経節細胞はHRPを用いた染色、さらに免疫組織染色(TUJ-1)による方法を行い、とも成果が得られ、3種類の細胞(小型円形、大型円形、大型多角)が確認された。生理学的実験の結果と組織実験の結果を比較し、所見が一致する事が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度、変異型ロドプシン遺伝子トランスジェニック(TG)家兎は56週まで生育し、その間、対光反射、ERG測定を経時的に行い、最終的に組織観察を行った。56週でのTG家兎の視細胞層は完全に萎縮し、網膜神経節細胞も一部、核の変性、軸索は退縮していた。22年度の薬物投与家兎に関しても同様であった。次年度、早期段階(early stage)での組織変性と機能的結果の比較を行う。すなわち、TG家兎、薬物投与家兎ともに視細胞のみ萎縮させ(生後30週目あたり)、網膜神経節細胞を残した状態での対光反射、網膜電図、組織所見を比較検討する。最終的に家兎の対光反射の起源を解明し、かつメラノプシン含有網膜神経節細胞の存在、役割を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
色素家兎、白色家兎、抗体の購入
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