2013 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性に対する光線力学的療法(PDT)の眼組織変化の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
23592587
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 美砂 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30404966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90265885)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / VEGF / PDT / PDT併用抗VEGF療法 / 神経保護 / 網膜 |
Research Abstract |
抗VEGF剤投与の時期により、網膜への影響が異なるのかを組織学的に免疫染色(Tunel染色)を用いて解析した。さらに、アポトーシス関連分子であるBaxとpAktについても解析した結果、PDT1週間後を経てからであれば抗VEGF剤を投与しても神経網膜のTunel染色陽性細胞はvechicle群と有意差がないが、直後や翌日に抗VEGF剤を投与した群では有意にTunel染色陽性細胞が増加していた。このことから、PDT後の抗VEGF製剤は投与時期により、アポトーシスを引き起こすことが解明されたが。さらに、その場合のサイトカインとしてBaxやpAKtの発現がみられた。そして、pAktの阻害薬であるLY294002を投与により網膜組織のBaxが抑制され、網膜神経細胞のアポト ーシスがレスキューされることから組織障害およびその修復メカニズムを解明した。臨床において加齢黄斑変性では、PDTと抗VEGF療法の併用療法がされており、治療のタイミングなどが議論されている。近年、PDT直後の人眼を生体染色で解析したところ、VEGFの発現が亢進していたという報告ある。それを受け、それによって発現したVEGFがさらに新生血管の活動性を誘導する可能性を示唆し、PDT後、可及的に早い時期に抗VEGF療法を施行する施設が多い。しかし、今回の我々の解析結果ではPDT直後に発現するVEGFはPDTによって障害される神経網膜の修復メカニズムに関与することが分かった。この結果は今後も出てくる新薬との併用においても大変有意義な情報であり、近年罹患率が増加傾向にあり、我が国の中途失明率の上位をしめる疾患である加齢黄斑変性の治療において重要な結果で あると考える。今後は更に、神経保護因子であるPEDFやCNTFなどの投与が神経網膜を保護するか、組織学的、分子細胞生物学的に解析する。この結果は将来、神経保護をしながらPDTを行うという治療コンセプトの確立に役立つ情報となる。
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