2012 Fiscal Year Research-status Report
ドナー由来間葉系幹細胞による眼慢性移植片対宿主病の発症機構と新規治療法の開発
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23592590
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 葉子 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (30160774)
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Keywords | 慢性移植片対宿主病 / ドライアイ / 線維化 / 線維芽細胞 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
眼移植片対宿主病(GVHD)は眼粘膜線維化を主体とした難治疾患であり、発症機構と病態形成の解明、新規治療法の開発が医学的にも社会的にも急務である。平成24年度は間葉系幹細胞(MSC)による眼慢性移植片対宿主病(GVHD)の免疫応答および線維化形成における分子機構の研究をすすめた。a)マウスモデルにおいて末梢血のIL-6、抑制性T細胞、Th-17T細胞数の推移を移植前よりprospecitve に検討した。b)慢性GVHD涙腺組織免疫原性線維化に関わるIL-6, 抑制性T細胞とおよびそれに関わるTh17T細胞についてドナーMSC移植後に各分子の経時的な変化と線維化及びドナーMSC由来線維芽細胞数との関連を検討しドナーMSCが眼GVHD発症機転に関与するかを検証した。ドナーMSC移植3週後にGVHD様変化を示すレシピエントの血中IL-6がレシピエントタイプのMSCを移植したコントロールに比して有意な上昇を示し脾臓細胞の抑制性T細胞はコントロールに比し移植後3週時に減少を示した。C)涙腺、結膜組織切片についても同様の分子と各種T細胞の検証をし線維芽細胞とT細胞の活性化所見を得ている。これらの研究成果からMSCの眼慢性GVHDに対する重要性と意義が明らかになりつつある。研究成果をまとめ論文を投稿し、reviewerからのコメントに対し論文改定が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性移植片対宿主病の線維化の原因となるドナー由来線維芽細胞の由来が間葉系幹細胞であることをつきとめた。この研究成果は国内外の学会にて情報を発信できた。 臨床応用にむけての基盤をつくることができたと考えている。 科研費により研究を推進することができ、研究成果を論文にまとめることができた。 論文を投稿中であるが受理までにはreviewerのコメントから追加実験や論文改定が必要であり、受理にむけて追試を施行しているためおおむね順調に研究が進展していると考えている。 今後、臨床応用への道筋を作るために安全性を確認し更なる進展のために努力が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
reviewerからのコメントに対し追加実験をし、結果の信頼性、質をたかめる。現在はマウスモデルでの検証であり、臨床検体、臨床データの集積との比較検討を試みる。今後の研究の具体的推進方策はまず第一にMSC除去移植による線維化抑制の確認をする。a)MSC除去移植について線維化抑制の機序と安全性を検証する。MSC除去移植を施行後、涙腺および結膜ならびにGVHD各臓器での線維化抑制を確認する。サンプル数を増やして繰り返し確認検証する。b) MSC除去移植後の、IL-6、IL-17, TGF-βについてのサイトカインの変動と抑制性T細胞数の推移を全骨髄細胞移植と比較検討する。さらに申請者らは新鮮MSCの中にHLA-DR陽性分画と陰性分画があることを見出しており、HLA-DR陽性分画のみを除くことにより、より免疫源性の高いMSCの存在の有無を確認する予定である。有用で安全性の高いMSC除去移植の可能性を追究する。臨床応用の可能性を検討する。c)臨床的には全骨髄細胞からヒト間葉系幹細胞(Mabuchi Y, Matsuzaki Y. Inflam and Regene 2008)除去移植の適応決定の準備をする。倫理委員会と登録臨床研究の準備を進める。申請者は基礎と臨床における他科との横断的連携が確立しており、基礎で得られた研究成果を臨床応用への早期実現が可能な環境にある。内科、眼科とは15年間連携し約600例の追跡dataを蓄積している。申請者はKEIO BMT programとして同一チームで造血幹細胞移植患者の眼科領域診察、治療を担当している。臨床応用への準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果をまとめ投稿中であるが論文の改定のための追試と論文受理にむけて追加実験が必要であり、論文改定追試用実験用動物(含維持費)250,000円論文改定追試用細胞培養関連試薬(培地、血清、成長因子)200,000円、論文改定追試用蛋白解析試薬 (抗体、構造解析試薬)400,000円の使用計画を考えている。またこれまでに得られた研究成果は広く国内外に情報を発信する予定であるため旅費への使用を計画している。 うちわけは、研究成果発表国外180,000円、研究成果発表国内50,000円、論文作成投稿費用80,000円、通信費10,000円、印刷費10,000円、謝金20,000円を計画している。 未使用額の発生は効率的に物品調達を行った結果であり、未使用額は翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Accumulation of secretory vesicles lacrimal gland epithelia is related to non-Sjögren’s type dry eye in visual display terminal users.2012
Author(s)
Kamoi M, Ogawa Y, Nakamura S, Dogru M, Nagai T, Obata H, Ito M, Kaido M, Kawakita T, Okada Y, Kawakami Y, Shimmura S, Tsubota K.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 7
Pages: e43688(1-8ページ)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Presence and physiologic function of the Renin-Angiotensin System in mouse lacrimal gland.2012
Author(s)
Yaguchi S, Ogawa Y, Shimmura S, Hatou S, Nakamura S, Inaba T, Imada T, Ozawa Y, Kawakami Y, Ishida S, Tsubota K.
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Journal Title
Invest Ophthalmol Vis Sci
Volume: 53
Pages: 5416-5425
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Age-related dysfunction of the lacrimal gland and oxidative stress: evidence from the Cu,Zn-superoxide dismutase-1 (Sod1) knockout mice.2012
Author(s)
Kojima T, Wakamastu TH, Dogru M, Ogawa Y, Igarashi A, Ibrahim OM, Inaba T, Shimizu T, Noda S, Obata H, Nakamura S, Wakamatsu A, Shirasawa T, Shimazaki J, Negishi K, Tsubota K.
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Journal Title
Am J Pathol.
Volume: 180
Pages: 1879-1896
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 自己免疫疾患様反応を示す眼慢性GVHDマウスモデルのT細胞と間葉系幹細胞の相互作用2012
Author(s)
小川葉子, 榛村重人, 森川暁, 馬渕洋, 谷口智憲, 谷口紗織, 稲葉隆明, 岡本真一郎, 河上 裕, 岡野栄之, 松崎有未, 坪田一男..
Organizer
第21回日本シェーグレン症候群学会学術集会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20120907-20120908
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[Presentation] Interaction between donor mesenchymal stem cells and recipient-derived T cells in the pathogenesis of ocular chronic graft versus host disease2012
Author(s)
Ogawa Y, Shimmura S, Morikawa S, Yaguchi T, Yaguchi S, Inaba T, Kawakami Y, Okano H, Matsuzaki Y, Tsubota K. .
Organizer
The association for research in vision and ophthalmology 2012 (ARVO 2012) Annual Meeting,
Place of Presentation
Fort Lauderdale, Florida, USA
Year and Date
20120506-20120510
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[Presentation] A role of recipient-derived T cells in ocular chronic graft-versus-host disease.2012
Author(s)
Ogawa Y, Shimmura S, Morikawa S, Mabuchi Y, Yaguchi Y, Inaba T, Kawakami Y, Okano H, Matsuzaki Y, Tsubota K.
Organizer
1st Conference on the Tear Film and Ocular Surface in Asia,
Place of Presentation
Kanagawa, Japan
Year and Date
20120402-20120404
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