2011 Fiscal Year Research-status Report
角膜上皮細胞における紫外線暴露によるp38活性化と上皮間葉系移行と細胞死の制御
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23592591
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
加藤 直子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院 眼科, 講師 (20398605)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 角膜上皮細胞 / 上皮間葉系移行 / 紫外線 / 炎症 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの角膜上皮に発生する良性の線維血管増殖性病変である翼状片の発生機序の解明を念頭において、培養角膜上皮細胞に紫外線を照射し、細胞内シグナルの同定を行う予定であった。マウス培養角膜上皮細胞を用いてシグナル伝達経路が同定出来たら、次ぎはヒト培養輪部角膜上皮細胞を用いて、シグナル伝達経路の再現性を確認、さらにはヒト輪部組織の器官培養やin vivoでのマウス角膜への紫外線照射を行い再現性を確認する予定である。平成23年度は、マウス角膜上皮細胞に完全型上皮間葉系移行類似の反応を起こさせるために紫外線照射を行なったが、紫外線照射だけでは刺激として不十分であったため、炎症性サイトカインであるTNFa, TGFb1の添加を同時に試みた。これらサイトカインの添加により、上皮間葉系移行が部分的に誘導され、紫外線照射によりその反応がさらに強められることが明らかとなった。また、これらの反応は、GSD3B阻害剤であるBIO (6-bromoindirubin-30-oxime)を添加することによりより増強した。平成23年度の実験結果により、マウス角膜上皮細胞に完全型上皮間葉系移行を起こさせるには、紫外線照射だけではなく複数の刺激が必要であることが明らかとなった。すなわち、翼状片の発生機序には紫外線照射のみならず、慢性に持続する炎症や紫外線暴露による遺伝子の変異が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は昨年慶應義塾大学から防衛医科大学に異動になり、研究場所も移転した。そのため、昨年度の前半は、培養系の設置、研究環境の整備に時間を費やした。しかし、研究環境は既にほぼ整い、順調に実験が行なえる状況となった。平成23年度はマウス角膜上皮細胞に完全型上皮間葉系移行を引き起こす刺激について研究を行なった。平成24年度以降は細胞内シグナル伝達の解明を行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス角膜上皮細胞で最も効率的に上皮間葉系移行様の形質転換を起こす刺激を確定した後、p38MAPKのリン酸化シグナルを中心にシグナル伝達の解明を行なう。その後、ヒト角膜上皮細胞株、ヒト初代培養角膜上皮細胞を用いて、ヒトの角膜上皮でも同様の反応が起こることを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、引き続き実験用消耗品、学術会議に出席するための旅費等に使用する予定である。
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