2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592592
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
島崎 潤 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40170930)
|
Keywords | 口腔粘膜 / 間葉系幹細胞 / 神経堤細胞 / 角膜実質 / 分化誘導 |
Research Abstract |
我々は既に口腔粘膜上皮下組織から間葉系幹細胞に類似した細胞群を抽出しており、この細胞群には神経堤由来の細胞が含まれていることが分かってきた。この神経堤由来細胞をクローニングし、角膜実質細胞に類似した細胞へ分化誘導することで、角膜実質細胞の細胞源となりうることが考えられる。昨年度において作製した細胞塊から増殖させた細胞はPDGFRaの発現をみることができなかったが,本年度においてはこの細胞塊の選別方法としてCD56, PDGFRa陽性の細胞塊から増殖した細胞を観察することにした。まず、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化誘導を行ったところ、骨芽細胞誘導ではアルカリフォスファターゼ陽性のアリザリンレッド陽性のカルシウム沈着を観察することが出来た。軟骨細胞では軟骨ムチンを染色するサフラニンO陽性でType IIコラーゲンの発現も観察された。脂肪細胞においては分化誘導後オイルレッド陽性の脂肪滴をみることができた。これらのことから口腔粘膜上皮下の一個の細胞から多分化能を示すことができた。さらに本年度においては神経細胞への分化誘導も行ったところ、神経細胞で発現するbeta-III-tubulinを観察することが出来た。これらのことから、神経堤由来細胞で発現するPDGFRaの発現は、より分化能の高い細胞である可能性を示すとともに、これまでの報告にもあったように、神経細胞へ分化させるのに重要な因子であることが示唆された。現在、角膜実質細胞への分化誘導も行っているが、現時点で角膜特異的に発現するケラトカンについて観察することは出来ていないが、今回クローニングした細胞についてフローサイトメトリーによる容細な解析を行っていくとともに、今後も培養条件等を検討し、角膜実質細胞への分化誘導も行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度において我々は口腔粘膜実質細胞からNeuro sphere法を利用してシングルセルから細胞の分離し、さらに高い分可能を示す細胞塊の選別に成功した。神経堤由来細胞で発現するCD56, PDGFRa陽性の細胞塊から増殖した細胞は骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞さらに神経細胞へ分化誘導が可能であることも解ってきた。角膜実質細胞への分化誘導法の確立までは至っていないが,分化能の高い細胞塊を選別出来たことは大きな進歩である。これらのことから現在までの研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最大800文字、改行は5回まで入力可。(ただし、一時保存の際は1600文字まで入力できます。) 平成25年度の計画は引き続き平成24年度の研究を行うとともに、選定した神経堤由来細胞から角膜実質細胞への分化誘導を行って、最適な分化誘導条件を選定し、分化誘導法を確立する。また、角膜実質細胞への分化誘導を行なうため、始めは今までに報告されている角膜実質細胞維持培地を利用し培養を試みる(Du, Stem cells, 2005; Builles, Biomed Mater Eng, 2006, Yoshida, IOVS, 2005)。より角膜実質細胞に近い分化をする培養条件を選定するため、研究協力者(兼子)により提供される培養器で様々な条件を検討する。この培養器は器内が8区画に分かれ、一度にそれぞれガス濃度を別々に設定するとが出来る。それぞれのガス濃度条件下でbasic fibroblast growth factor (bFGF)などの因子の濃度を振って培養し、分化誘導を試みる。さらに、口腔粘膜上皮下細胞から角膜実質細胞への最適な分化誘導条件を確立するため、上記で様々な条件で分化誘導行った細胞を解析する。解析は角膜で発現するケラトカン、ALDH3A1、ルミガン等の発現を免疫染色ならびにRT-PCRによって行う。コントロールとして角膜実質から分離培養した細胞を用いて比較検討する。分化誘導ならびにデータ解析は研究協力者(比嘉)と協力して行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
|