2011 Fiscal Year Research-status Report
眼創傷治癒におけるTGF‐βとインテグリンの相互作用の役割解明とその応用
Project/Area Number |
23592596
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 浩二 近畿大学, 医学部, 准教授 (60230736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 孝二 近畿大学, 医学部, 講師 (50399119)
萩原 智 近畿大学, 医学部, 講師 (40460852)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 線維芽細胞 / 線維化 / タンパク質 |
Research Abstract |
眼創傷治癒におけるTGF-βとインテグリンの相互作用について解析するための基礎的研究を行った。線維化組織は筋線維芽細胞の過剰な存在によって特徴づけられる。それゆえ、筋線維芽細胞の分化を誘導する因子を理解することは過剰な結合組織増生を防ぐために重要である。これまでの研究からインテグリンを介する細胞外マトリックスと細胞骨格の相互作用が筋線維芽細胞の分化を促進することが明らかにされつつある。インテグリンα11(ITGA11)は線維芽細胞上のコラーゲンレセプターであり、線維化に関わっていると推測されるが、その機能については不明な点が多い。線維化を促進する中心的役割を担うTGF-βで角膜線維芽細胞を刺激するとITGA11の発現が亢進することを見出した。ITGA11の細胞内ドメインをコードするcDNAを線維芽細胞cDNAライブラリーより、PCR法にてクローニングした。そのcDNAをbaitとして酵母two-hybrid法により、線維芽細胞cDNAライブラリーをスクリーニングし、ITGA11と結合する候補タンパク質として calcium and integrin binding protein 1 (CIB1)が同定された。ITGA11およびCIB1の線維芽細胞への影響を明らかにするために、ITGA11およびCIB1発現ベクターを構築し、線維芽細胞へトランスフェクションし安定発現細胞を確立しようと試みた。肺癌細胞株A549とPC9の培養上清が肺線維芽細胞MRC-5の活性化を抑制することを見出し、その抑制する物質は5'-deoxy-5'-methylthioadenosine (MTA)であることを同定した。MTAはTGF-βが誘導するmitogen-activated protein kinaseの活性化を抑制することにより筋線維芽細胞活性化を抑制した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度研究実施計画において予定していた通り、TGF-βで角膜線維芽細胞を刺激した場合のインテグリン発現解析、ITGA11の細胞内ドメインをbaitとしての酵母two-hybrid法によるタンパク質スクリーニング、およびITGA11の細胞内ドメインと相互作用するタンパク質遺伝子のクローニングなどの実験は成功した。また、線維化にかかわる可能性のある各種タンパク質(ITGA11, CIB1、decorin、CTGF)発現ベクターの構築も予定通り遂行できた。しかし、その発現ベクターを線維芽細胞にトランスフェクションして安定発現細胞を確立しようと種々の条件を検討して試みているが、いまだ確立できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
線維化にかかわる可能性のある各種タンパク質を恒常的に発現する安定発現細胞を確立するために、トランスフェクション試薬、細胞の培養条件などをさらに検討してみる。安定発現細胞が確立されれば、ITGA11, CIB1を高発現させた場合、細胞が形態学的および生化学的にどのような影響を受けるか解析する。具体的には、線維芽細胞の活性化の指標であるα-smooth muscle actinや細胞外マトリックスのひとつであるフィブロネクチンなどの発現、TGF-βシグナリングを担う細胞内タンパク質のひとつであるSmad3のリン酸化状態などを検討する。また、インテグリンに限定せず、線維化にかかわるタンパク質と相互作用するタンパク質のスクリーニングも引き続き行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が6,285円生じた。これは当該年度の直接経費総額1,800,000円の約0.3%に相当する金額である。平成24年2月末の時点では、すでに当該年度に予定していた研究に必要な物品は購入済みであり、この金額で購入可能で、かつ早急に必要な物品が見当たらなかった。研究費を無駄にしないためには、次年度に繰り越し、次年度分とともに使用する方が研究経費として有効に活用できると考えた。当該年度と同じように、次年度も直接経費は実験試薬・消耗品をはじめとする物品の購入にあてる予定である。
|
Research Products
(1 results)