2013 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエドメインOCTを用いた黄斑ジストロフィー早期診断法の確立
Project/Area Number |
23592601
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
角田 和繁 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 視覚研究部, 部長 (30255525)
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Keywords | 黄斑ジストロフィー / OCT |
Research Abstract |
黄斑ジストロフィーは重篤な視力障害を来す遺伝性の眼疾患である。この中には、スターガルト病、ベスト病、錐体・杆体ジストロフィー等が含まれるが、優性遺伝型オカルト黄斑ジストロフィーの原因については、視細胞の構造タンパクRP1L1の異常によるものであることを我々が解明している。しかし、本疾患には家族性タイプから弧発例タイプまでさまざまな亜型があり、完全な病態の把握には至っていない。本研究では多施設による眼科的検査・家系調査、RP1L1遺伝子のダイレクトシークエンスおよび次世代シーケンサーを用いた全エクソン解析を行い、OCTを中心にその臨床的特徴をまとめた。 研究期間中に50例を超えるオカルト黄斑ジストロフィーの症例を収集した。そのうちRP1L1遺伝子変異は35症例に認められた。すべての優性遺伝家系において同変異が検出された。RP1L1遺伝子変異が見られなかった症例はすべて孤発例であった。原因遺伝子の特定できない症例に対して全エクソン解析を行い疾患と関連のある遺伝子異常を抽出したところ、複数の症例から複数の候補遺伝子が見つかったが、現時点では原因遺伝子を特定するには至っていない。 OCTを用いた解析により、RP1L1遺伝子変異の見られたオカルト黄斑ジストロフィーでは特徴的な黄斑部の網膜外層構造異常が観察された。すなわち、黄斑部に限局した錐体視細胞外節先端部ライン(COSTライン)の消失、視細胞内節ellispoidライン(ISeライン;別称IS/OS接合部ライン)の不明瞭化、分断、消失などである。また、中心窩網膜厚は長期間経過するにつれて次第に菲薄化していった。 一方、家族歴のない孤発例のオカルト黄斑ジストロフィーの一部には、上記と全く異なるOCT所見を示す症例も多い。電気生理学的に診断されるオカルト黄斑ジストロフィーには、病因を異にする複数の疾患が関与しており、疾患定義について新たな検討が必要であることが示された。
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