2011 Fiscal Year Research-status Report
網膜の発生・維持・疾患におけるOct-3/4遺伝子の役割
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23592606
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小阪 美津子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50270476)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組織幹細胞 |
Research Abstract |
動物細胞の全能性に関わる転写調節因子OCT3/4遺伝子として全長型(A型)がよく知られているが、異なる転写産物であるvariant型遺伝子が存在し、癌幹細胞との関連性が最近示唆されている。しかしながら、ヒト癌組織や少数の組織細胞で発現が報告されている転写産物については、1992年Takedaら(Nucleic Acids Research)以降、正確な情報が集積されているとはいえない。特に転写開始点やsplicing様式についての情報が少なく、翻訳されるアイソフォームタンパク質についての情報も不明な点が多い。我々はマウスOCT3/4遺伝子のvariant型転写産物を眼組織内で同定し、その発現が眼組織内の細胞多能性に県連する可能性を得ており本研究ではそれらの機能を明らかにすることを主たる目的とする。H23年度においては、網膜においてOct3/4varitant遺伝子を過剰発現させる遺伝子改変マウス作成に必要なDNAコンストラクトを構築した。また網膜内OCT3/4 variant遺伝子を発現している細胞を単離、濃縮し性状解析を進め、siRNA法による発現抑制の効果をin vitroで確認した。また、ヒトで癌との関連が報告されているOct3/4B遺伝子に相同するマウスの転写産物を新たに同定しその発現制御機構について解析した結果、転写レベル、翻訳レベルでの調節が存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育環境を早急に整備できなかったため、コンディショナルノックアウトマウスの繁殖・交配維持を開始できていない点が計画より遅れている。一方で、過剰発現系、発現抑制系の解析、新規variant1型遺伝子の同定とその発現制御機構の解析では、当初の計画以上の進展があり新規性の高い需要な情報が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスを用いたvivoでの解析を重点的に進めると共に、variant型転写産物がコードするOCT3/4 isoformタンパク質の生化学的性状とその発現制御機構の解明を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験に関わる経費を次年度に一部繰り越し、cKOマウスと過剰発現系マウスを並行して作成し解析する。その他は、分子生物学的実験に必要となる薬品、消耗品類に使用する。必要に応じて実験補佐員の雇用を行う。
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