2012 Fiscal Year Research-status Report
Lrigファミリ―による角膜上皮幹細胞の恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
23592621
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 隆宏 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (30411078)
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Keywords | 上皮幹細胞 / 角膜 / EGFR / Lrig / 眼表面 |
Research Abstract |
幹細胞を用いた角膜再生医療の臨床基盤技術開発を念頭に、角膜上皮幹細胞の恒常性維持機構を分子レベルで解明することを主目的とし、EGFRシグナル伝達系に注目し、その主要関連遺伝子であるLrig1に焦点を当てて研究をすすめた。前年度に生体創出に成功したLrig1KOマウスを用いて機能解析を進めた。角膜の表現型に関して経時的に詳細な観察を行った結果、生後6カ月以降にKOマウスの角膜において、炎症を伴う角膜混濁を認めた。その細胞生物学的特徴を考察するため、上皮細胞に特徴的な細胞骨格マーカー(ケラチン等)、骨髄由来細胞マーカー(CD45, CD3, F4/80等)、炎症性サイトカイン(TSLP, IL8等)、細胞増殖関連分子(BrdU, Ki67等)の発現をRT-PCR法、免疫組織化学染色法を用いて比較検討し、細胞分化に関する情報を集積した。KOマウスの角膜では、角膜上皮細胞マーカーであるケラチン12の発現が消失し、表皮細胞マーカーであるロリクリンの発現が認められた。組織像では、20-30層の重層化した上皮層が観察され、病的角化状態を呈していることがわかった。また、WTマウスと比較して、KOマウス角膜ではTSLPをはじめとする炎症性サイトカインの発現レベルも亢進していた。また、KOマウスの角膜実質内には、多数の骨髄由来細胞が集積しており、角膜実質構造のremodelingが認められた。以上、今年度の結果より、Lrig1は角膜における恒常性維持機構に重要な役割を担っている事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の予定通り、EGFRの主要ターゲット分子であるLrig1に注目し、創出したLrig1遺伝子改変マウスを用いて、経時的な角膜の表現型の詳細な観察を行い、その組織学的、細胞生物学的特徴の解析を終了した。また、次年度に計画予定のin vitroモデルにおける機能解析や、創傷誘導モデルによる角膜の機能解析の条件検討を終了した。以上より、現在までの研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Lrig1が角膜の恒常性維持機構に重要な役割を担っている事が明らかとなった。そこで今後は、創出した遺伝子改変マウスを用いて、in vitro機能解析モデル、創傷誘導モデルを用いた角膜における組織学的、細胞生物学的考察を加えて、Lrig1の角膜における恒常性維持機構の分子レベルにおける機能解析を行う。また、Lrig1遺伝子欠損マウス角膜上皮に関してもDNAマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、in vivoならびにin vitroにおけるLrig1の細胞動態を把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費の使用計画としては、Lrig1遺伝子欠損マウスを用いた各種細胞生物学的、分子生物学的考察、Lrig1のin vivoおよびin vitroにおける機能解析に要する研究試薬、研究消耗品、実験動物に関するための研究費を使用する予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Visual Improvement following Cultivated Oral Mucosal Epithelial Transplantation.2013
Author(s)
Sotozono C, Inatomi T, Nakamura T, Koizumi N, Yokoi N, Ueta M, Matsuyama K, Miyakoda K, Kaneda H, Fukushima M, Kinoshita S
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Journal Title
Ophthalmology
Volume: 120
Pages: 193-200
DOI
Peer Reviewed
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