2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞を用いた気管軟骨再生法に関する研究
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23592628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
臼井 規朗 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 雅史 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (20403074)
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Keywords | 気管軟骨 / 再生医療 / 幹細胞 |
Research Abstract |
小児の気管軟骨の再生には多量の細胞源を必要とするが、本課題では実験動物及びヒトの脂肪組織由来幹細胞(ASC)を軟骨細胞に分化せしめ、in vitroで軟骨細胞シートを回転培養してASCから軟骨管状構造体を再生させることを目的とている。 平成24年度には、家兎ACSの採取・同定を行いこれより軟骨細胞シートの作成を行った。実験動物にNew Zealand White Rabbitを用い、皮下脂肪組織を採取した。脂肪組織を洗浄後コラゲナーゼtype IIを用いて融解した。70μmナイロンメッシュで細胞分離し、10%FBS+DMEM中で37℃、5%CO2の条件下で接着細胞を選択的に培養した。p2で細胞を分離しASCとした。ASCは1×106/mlの濃度で-80℃で凍結保存し、解凍後に培養および軟骨細胞への分化実験に用いた。 凍結家兎ASCを解凍後増殖しさせ、トリプシン処理して細胞を回収し、1.0×106/ml、2.0×105/ml、4.0×104/mlの細胞密度で培養器に播種して1週間〜4週間継続培養して細胞シートを作製した。培養液には軟骨細胞分化用培養液(DMEM+5%FBS、TGFβ、insulin、transferrin、dexamethasone)を用いた。 結果:前年度には軟骨細胞の分化途上においてsphere形成ののち、細胞が不均一に重合していた。軟骨細胞シートを形成する以前に脱分化を生じていたものと考えられたため、培養溶液における添加物を調整することで、軟骨細胞への分化を継続させ、軟骨細胞シートが形成されるようになった。しかし、家兎耳介軟骨細胞を用いて作成した軟骨細胞シートに比較して強度が劣り、シリコンチューブ上で円筒の形状が維持できず、回転培養を継続するに至らなかった。軟骨基質の産生が不十分なためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
家兎ASCを分離・保存し、軟骨細胞シートを作成することは可能であったが、軟骨基質が不十分なためか、強度が不足しており、培養器から剥脱させると強度が維持できず、円筒状の細胞シートとして回転培養するに至らなかった。その理由として、ASCから軟骨細胞への分化条件が未だに不十分であり、基質の産生量が不足していることが挙げられる。シートの培養継続中に一部の細胞が繊維芽細胞に分化して混入していることも考えられる。今後、添加する蛋白を含め、細胞シート自体の培養条件にさらなる工夫を加えて検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
培養液に添加する因子としてBMP-2、BMP-6、BMP-7、FGF-2、TGF-β2、TGF-β3などについて試み、さらにACSから軟骨細胞への分化促進因子として、低酸素濃度、温度条件、軟骨細胞や基質の添加などを行い、軟骨細胞が十分な強度を持った細胞シートになるよう条件を策定していく必要がある。 十分な強度を有する細胞シートが形成されれば、回転培養を行い、当初の計画どおり、組織学的検討(HE染色、サフラニン-O染色、II型コラーゲンおよびI型コラーゲンの免疫組織化学染色)を行う。軟骨基質の組成についてはグリコサミノグリカン含有量を測定する。物性強度についてはレオメーターを用いて、圧縮強度およびヤング率を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ASCを用いて軟骨細胞シート形成するまでの軟骨細胞への分化促進をさらに工夫する必要がある。いくつかの有望な分化促進因子が報告されているが、これらのrecombinantの製品の薬品に充当する予定である。その他は細胞培養の費用に充当する。
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Research Products
(1 results)