2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性下肢虚血に対する新しい遺伝子治療システムの開発
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23592638
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 睦 東北大学, 大学病院, 助教 (30333800)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
研究デザインに即したマウス下肢虚血モデルの開発を行った。これまで、マウス血管解剖を詳細に検証した報告はなかったが、研究デザインに合わせたモデル作製法の考案には解剖知識が不可欠と考え、今回マウス下肢血管解剖を詳細に検証・考察して、その概要を学会で発表した。 今回の計画では、申請者らが開発したマイクロ/ナノバブルと超音波を用いた、非侵襲的遺伝子導入法を用いるが、マウス大腿への導入に際しては手技的に不安定な部分があり導入効率にバラつきが見られたため、超音波プローブの種類や照射方法による導入効率の違いを検証し、導入手法の最適化を行った。 申請者らがかつて長期発現を確認したレンチウィルスベクターに、VEGF-A遺伝子およびレポーターとしてのLuciferase遺伝子、Na-I symporter遺伝子を組み込んだベクターを作製した。培養細胞への導入では、VEGF-A遺伝子を含むベクターを導入することで、control vector導入細胞に比べて優位に多いVEGFの産生が確認された。ついでvivoにおける発現確認として、マウス下肢に導入して定時的に、導入後8週間までの発現を確認したが、Luciferase遺伝子単独では長期発現が確認されたのに対し、VEGF + Na-I symporter + Luciferase遺伝子、およびNa-I symporter + Luciferase遺伝子を組み込んだベクターでは発現が長期間持続しないという結果となった。そこで現在ベクターに改良を加えるべく新たなベクターを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルの開発は概ね完了し、その過程で検証したマウス下肢血管解剖の知見について論文発表の準備に入っている。 高周波超音波をによる血管密度計測は振動等の外的要因に非常に敏感であり、震災後で余震が多い期間には不向きであると考えたため簡単な予備実験にとどめた。 長期発現ベクターについては、controlベクターの長期発現は確認できたものの、治療分子(VEGF)を含むベクターでは通常のベクターと同等の期間の発現しか確認できなかった。そのため、現在改良を加えたベクターの作製を行っているところである。長期発現の確認実験には2~3ヶ月の観察期間が必要であり、その分進達度にやや遅れが生じているが、全体にはおおむね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
高周波超音波を用いた治療効果の評価法の開発を行うとともに、現在新たに作製しているベクターの発現確認をおこない、長期発現を確認でき次第虚血モデルにおける効果の検証を行う。 また、これまでの知見でVEGF単独での効果には疑問を呈されているという状況があることから、あらたにbFGF遺伝子を組み込んだベクターも作製し、その効果の検証も併せて行う方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
公布される研究費を、(1)マウス購入および飼育、(2)ベクター増幅・抽出に用いる試薬、(3)超音波造影剤の購入、(4)免疫染色およびタンパク定量に必要な試薬の購入などに要する費用に充てる予定である。
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