2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性下肢虚血に対する新しい遺伝子治療システムの開発
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23592638
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 睦 東北大学, 大学病院, 助教 (30333800)
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Keywords | 創傷治癒学 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
研究デザインに即したマウス下肢虚血モデルの開発に際して,その根本となるマウス下肢血管解剖がよく検討されていないことが明らかになった.そこで,マウス下肢血管解剖の解明をH23年度に引き続き行った.これによりマウス下肢栄養動脈の3次元的構造および破格の分類が解明され,虚血モデルのデザインにおける必要知識と,モデルデザインによる差異の知見・考察を得た.これについて現在論文執筆中である. 組織中血管密度の評価法として,高周波超音波装置と超音波造影剤による血管密度計測の効果を確認した.特に,市販の半減期が比較的長い造影剤に比べ,半減期が短いリポソームは反復検査も可能であり,手技的にもコスト的にも有効な手法であると思われた.この内容については第21回日本形成外科学会基礎学術集会において,「音響性リポソームと高周波超音波装置による微小血流計測の試み」として報告した.この手法は血管密度変化が大きい場合には有効であることがすでに示されているが,検体の体温や血圧など様々な要因によって得られる数値の誤差が大きいために小さな変化においては有意差を検出しにくいという問題点が明らかとなった.これについては画像処理による補正ができるのではないかと考え,情報科学研究科と連携して解析プログラムの開発を進めている. 申請者らはかつてレンチウィルス由来の骨格にレポーター遺伝子を組み込んだベクターの長期発現(100日以上)を確認しており,これに血管新生遺伝子を組み込んで虚血四肢の遺伝子治療法を開発することを目的としているが,H23年度にVEGF-A遺伝子やNIS(PET撮影に用いるレポーター遺伝子)を組み込んだところ発現が約2週間で消失するという問題に直面した.これを改善するため,発現を安定化させるpA配列の付加や,プロモーターの変更,あるいは不要配列の削除など,発現期間延長のための改良を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス下肢血管解剖および虚血モデルについては,昨年度よりさらに知見を上積みして,現在論文を執筆中である.本研究の目的である治療実験について,治療分子を組み込むと発現期間が短縮するという問題に直面し,ベクター開発に難渋しているため,当初の計画よりやや遅れている現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
マウス下肢血管解剖,および解剖知見に基づいた下肢虚血モデルのデザイン法について,それぞれ論文を執筆中であり,近日中の発表を目指している. 高周波超音波と超音波造影剤による組織中血管密度評価法の実用化に向けて,画像解析ソフトの開発を進めるとともに,主要目的である長期発現ベクターによる遺伝子治療法開発に向けて.ベクターの開発を進める方針である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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