2013 Fiscal Year Annual Research Report
低出力体外衝撃波を用いた慢性創傷に対する非侵襲性治療法の開発
Project/Area Number |
23592639
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 啓道 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 健太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50375086)
川上 和義 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253973)
菅野 恵美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10431595)
武田 睦 東北大学, 大学病院, 助教 (30333800)
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Keywords | 体外衝撃波治療 / 慢性創傷 / 血管新生 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
使用する衝撃波発生装置はStorz社製Duolith SD-1である。7~8週齢の成熟雄マウス(C57BL/6J)とeNOSノックアウトマウス(eNOS-KO)を使用した。18時間の絶食後、STZ 150mg/kgマウス(0.15mg/g)投与9日後に血糖値が300㎎/dl以上をSTZ誘発糖尿病マウスとし、直径8mmのデルマパンチを用いて背側皮膚に、脊柱から離れたところで、潰瘍創を1か所作成した。創作成3日目に、照射は創部に直接行い、創1ヶ所あたり毎秒4発で100発、0.25mJ/mm2の強さで一回行った。照射後3、5、7、10日目に安楽死させた後、組織をサンプリングし、組織学的検討および生化学的検討を行った。 創面積の縮小率は野生型では対照群よりも照射群が有意に縮小したが、eNOS-KO型では両群の間に有意差はなかった。次に、創傷におけるVEGFおよびeNOSの発現をmRNAレベルおよびタンパク質レベルで調べたところ、野生型の照射群では確認できたが、eNOS-KO型の照射群では確認できなかった。そして、CD31およびCD34の免疫染色で血管密度(MVD)を計測したところ、野生型では対照群よりも照射群が有意に増加したが、eNOS-KO型では両群の間に有意差はなかった。 低出力衝撃波治療が創傷部位におけるeNOS及びVEGFの発現を高め、血管新生を促進するとともに、創傷治癒に対する促進効果を示すことを確認した。eNOS-KOマウスでは、WTマウスに比べて、低出力衝撃波治療による創傷治癒促進効果が有意に減弱し、VEGFの発現の減少と共に、血管新生促進効果の減弱がみられることが明らかとなった。これらの結果から、低出力衝撃波治療は、eNOSの発現誘導を介することで、VEGF発現とともに血管新生を増強し、創傷治癒の促進効果を示すことが明らかになった。低出力体外衝撃波治療の創傷治癒促進作用は、eNOSを活性化させることによって血管新生を引き起こすことによりもたらされたと考えられた。
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