2013 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒過程における酸化ストレス応答タンパク質Trim16の分子機能
Project/Area Number |
23592641
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
足立 孝二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70572569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
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Keywords | Trim16 / アポトーシス / 紫外線障害 |
Research Abstract |
創傷治癒 wound healingは、生体に生じた損傷が実質細胞の再生と細胞外マトリクスの産生を介し修復される過程である。その調節にはIL-1、IL-6をはじめとしてTGF-βなどのサイトカインが深く関与し、急性期反応、滲出期の炎症細胞の遊走、血小板による止血作用や生理活性物質の分泌を経てから、修復期、増殖期の血管新生、線維芽細胞増殖、肉芽組織形成となり、瘢痕期でコラーゲンが架橋されるという転帰をたどる。従来、それらの治癒機転についての各段階での検討を行っていたが、創傷治癒の開始点である受傷時のストレスから始まり、治癒過程における免疫応答のストレスなどの治癒過程における一連の創部環境のストレスの変化という視点から考えることは少なかった。本研究はストレス応答遺伝子として見出したTrim16の皮膚創傷治癒における働きを分子レベルで明らかにすることを目的とした。昨年度までに、効率よくTrim16の発現を抑制するノックダウン実験系を作成し、紫外線照射に対する感受性を調べ、ノックダウン細胞はコントロール細胞と比べ、極めて高頻度にアポトーシスを起こすことを見出した。本年度は、Trim16-KOマウスを用いて、個体レベルでの紫外線に対する応答を解析した。その結果、KOマウスの皮膚は、UVBの照射により激しいサンバーンを形成し、多くのアポトーシス細胞が見られることが明らかとなった。この結果は培養細胞レベルで見られたTrim16の抗アポトーシス機能が、実際の個体においても存在することを示している。そこで、このメカニズムを解明するためにアポトーシスシグナルに関与するタンパク質の解析を行ったところ、KOマウスでは抗アポトーシスタンパク質の活性化低下、向アポトーシスタンパク質の活性化亢進が見られ、Trim16がこれらの経路に対し何らかの調節機能を持っていることが示された。
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