2012 Fiscal Year Research-status Report
高ブドウ糖環境下に於ける神経細胞・表皮細胞・線維芽細胞の機能的・形態学的解析
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23592659
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
松崎 恭一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20278013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60193603)
冨岡 みゆき 聖マリアンナ医科大学, 医学部, その他 (90398967)
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Keywords | 高ブドウ糖 / 表皮細胞 / Nerve growth factor / Sortilin-1 / Matrix Metalloprotease-9 / 糖尿病性神経障害 |
Research Abstract |
平成23年度の研究結果から表皮細胞はglucose濃度が0mg/dlと100mg/dlでSortilin-1, Nerve growth factor(NGF),Matrix Metalloprotease-9(MMP-9)のmRNA expressionに有意な差を生じることが明らかになった。Glucose濃度が0mg/dlという低血糖が表皮細胞に病的状態を生じるのか、或いは100mg/dlという糖尿病予備軍と呼ばれる状態が表皮細胞に何らかの影響を与え始めているのかという重要な問題が提起された。そこで本学生命倫理委員会の承認のもと(第1295号)、同意を得た患者より手術時に余剰となった組織から常法に従って表皮細胞を培養し6穴プレートへ継代した。 継代した表皮細胞は60-80%のコンフルエントにした後、無血清、無糖培地で24時間培養した。次いで0,20(低濃度),40,60(軽度低濃度),80,100(通常濃度)mg/dlの各種glucose濃度で24,48,72時間培養したうえで、Sortilin-1, NGF, MMP-9のmRNA expressionを測定した。低濃度で24, 48時間培養後のNGFは、通常濃度での培養に比べて高値の傾向がみられたが、72時間では逆転した。軽度低濃度で72時間培養した際のNGFは通常濃度と有意差はなかった。Sortilin-1は24時間の培養では濃度間で有意差はみられなかったが、48,72時間では通常濃度に比べて低濃度と軽度低濃度で低値であった。MMP-9は24時間の培養では20,40 mg/dlで高値の傾向がみられたが、48,72時間では通常濃度で有意に高い値であった。以上から表皮細胞のSortilin-1, NGF, MMP-9のmRNA expressionは低ブドウ糖環境の程度と培養時間によって変化することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、高ブドウ糖環境が表皮細胞と線維芽細胞にどのような影響を及ぼすかを主眼に検討した。その結果、低ブドウ糖環境が表皮細胞に与える影響を明らかにする必要性が提起されたため、本年度の研究遂行となった。すなわち当初予想していた研究成果以上に展開されているので、現在までの研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から低濃度のglucose濃度で表皮細胞を培養すると24, 48時間では通常濃度に比べてNGFの mRNA expressionは高く、72時間では低値をとることが明らかになった。次年度はNGFのタンパク量を測定することによって、どのようなフィードバック機構に基づいてmRNA expressionの変動が生じるかを検討する。同様にSortilin-1と MMP-9のタンパク量も測定し、それぞれのフィードバック機構を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究成果は遺伝子レベルではおおむね順調に進んでいる、これらの研究費を繰り越し引き続き、次年度も更なる遺伝子レベルとタンパク質レベルでの解析を進めていきたい。
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