2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性創傷での再上皮化促進のための再生医療の確立―再上皮化機序に基づいて―
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23592661
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保 美代子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (00098609)
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Keywords | 再生医学 / 培養表皮 / 再上皮化 |
Research Abstract |
平成24年度は,in vitro の三次元(ゲル)培養系で正常ヒトケラチノサイトならびにbeta3インテグリン遺伝子導入ヒトケラチノサイトの諸細胞機能(接着,増殖)を検査した.また, フィブロネクチン (FN) 投与による効果を調べた. 1. 正常ヒトケラチノサイトを用いた実験:所定のプロトコールによりコラーゲンならびにフィブリノーゲン (FG) 溶液を作製した.96 well plate あるいは24 well plate (transwell) に同溶液およびトロンビンを加えて,37℃で2 時間インキュベートしてゲル化させた.2% BSAを加えてゲル表面をブロックした後,20,000個の正常ヒトケラチノサイトを播種し,無血清低Ca 培地(KBM-Gold 基礎培地)で培養した.同時に,種々の濃度のFNをコートあるいはミックスして細胞接着促進効果ならびに細胞増殖促進効果の有無を検査した.その結果,3時間の細胞接着アッセイにより,正常ヒトケラチノサイトの細胞接着は,フィブリンゲル培養系でFNコートによりコートなしに比べて濃度依存性に増加した.一方,コラーゲンゲル培養系ではFNコートによる細胞接着促進効果はなかった.FNをゲル内にミックスする方法でも同様であった. 2. Beta3インテグリン遺伝子導入ヒトケラチノサイトと正常ヒトケラチノサイトとを用いた実験:フィブリンゲル培養系で細胞接着,細胞増殖を両細胞間で比較した.本実験では市販のFGからGelatin Sepharose 4BによりFNを除去して用いた(FNの存在が確認されたため).1時間の細胞接着アッセイならびに5日間の細胞増殖アッセイにおいて,beta3インテグリン遺伝子導入ヒトケラチノサイトは正常ヒトケラチノサイトに比べて有意に細胞接着ならびに細胞増殖が増加した.FN投与により両細胞の細胞接着と細胞増殖は増加した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が平成23年度末に退職したことに伴い研究環境が変わったことと,平成24年度中に研究補助者の雇用ができなかったことのために実験予定がやや遅れた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画として,1)in vitroでの三次元培養系(コラーゲンゲル,フィブリンゲル)で,beta3インテグリン遺伝子導入ヒトケラチノサイトおよびコントロール細胞(正常ヒトケラチノサイト,beta-galactosidade 遺伝子導入ヒトケラチノサイト) の諸細胞機能(接着,移動,増殖)を検査し,細胞外基質(とくにFN)や細胞増殖因子(bFGF,platelet rich plasma (PRP))投与による効果を検索する実験を完了する.2)in vivo での動物実験で,beta3インテグリン遺伝子導入ヒトケラチノサイトおよびコントロール細胞(正常ヒトケラチノサイト,beta-galactosidade 遺伝子導入ヒトケラチノサイト),細胞外基質(とくにFN),細胞増殖因子(bFGF,PRP)を単独あるいは併用投与して,それらの再上皮化促進効果とbeta3 インテグリン組み換え型培養表皮の生着率向上効果とを調べる実験を終了する. 上記の研究計画を遂行するために研究補助者を早急に雇用する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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