2013 Fiscal Year Annual Research Report
MAIR-I(CD300a)を分子標的とした敗血症に対する治療法の開発
Project/Area Number |
23592664
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小田 ちぐさ 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50510054)
|
Keywords | MAIR-I / 敗血症 / アポトーシス細胞 / フォスファチジルセリン / 肥満細胞 / サイトカイン / CD300a |
Research Abstract |
申請者らは、敗血症で大きな役割を果たす肥満細胞、好中球、マクロファージ上で発現する新規受容体であるMAIR-I(CD300a)を同定し、機能解析を進めてきた。その過程で、MAIR-Iがアポトーシス細胞と結合し、敗血症の生存率に関与していることを明らかにした。本研究では敗血症においてMAIR-Iを治療標的へと展開するための研究基盤を確立するために、アポトーシス細胞上に発現するMAIR-Iリガンドの同定とその機能解析を行うこととした。 申請者らはアポトーシス細胞とMAIR-Iの結合が、アポトーシス細胞に発現してくるフォスファチジルセリンを介していることを見出した。更に、MAIR-Iがフォスファチジルセリンと結合することで抑制性のシグナルを細胞内に伝達することを明らかにし、論文として報告した。フォスファチジルセリンは貪食細胞にアポトーシス細胞が貪食されるためのeat-me signalとして知られているが、肥満細胞上のMAIR-Iはアポトーシス細胞と結合することで、貪食ではなく、サイトカインやケモカインの産生を制御して、好中球を炎症局所へ呼び寄せていることを見出した。ひいては、MAIR-Iとフォスファチジルセリンの結合による肥満細胞からのサイトカインやケモカインの産生が敗血症の生存率に寄与していることを明らかにし、論文として発表した。また、フォスファチジルセリンに結合するタンパクやMAIR-Iに結合する抗体でMAIR-Iとフォスファチジルセリンの結合を阻害すると敗血症の生存率が改善することから、MAIR-Iが敗血症の治療標的となり得ることを示した。本研究において明らかにしたことは、炎症において増加してくるアポトーシス細胞を制御できる可能性を示唆し、敗血症のみならず他の炎症性疾患においてもMAIR-Iが治療標的となりうる可能性が考えられた。
|
Research Products
(15 results)