2013 Fiscal Year Annual Research Report
多臓器不全の発症機序におけるカルシウム非依存性ホスホリパーゼA2の役割
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23592666
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
相星 淳一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50256913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 康裕 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40176946)
小林 哲幸 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (50178323)
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Keywords | カルシウム非依存性ホスホリパーゼA2 / 急性炎症 / 好中球 / 出血性ショック / 腸管虚血再潅流 |
Research Abstract |
本研究は、急性炎症に対するカルシウム非依存性ホスホリパーゼA2(iPLA2)の関連性について検討した。出血性ショックによって急性炎症を惹起した腸管は、腸間膜リンパ液中に様々な炎症性メディエータを放出し、肺傷害を誘導する。従って、平成23年度は、出血性ショック後の腸間膜リンパ液中の脂質メディエータを定量した。その結果、不飽和脂肪酸(arachidonic acid、linoleic acid)含有lysophosphatidylcholine(LPC)およびlysophosphatidylethanolamine(LPE)が有意に増加していた。PCやPEに対してPLA1作用を示すことから、PLA1およびPLA2作用を有するiPLA2γの関与が考えられた。続いて、出血性ショック後の臓器障害に対する本酵素の関与について検討した。iPLA2γ特異的阻害剤は肺傷害を軽減し、リンパ液中の不飽和脂肪酸含有LPC、LPEを有意に減少させたことから、本酵素の関与が示唆された。 平成24年度は、腸管虚血再潅流モデルを使用して、再潅流後の臓器障害に対するiPLA2γの関与を検討した。iPLA2γ特異的阻害剤が、肺傷害、循環血液量の減少、血中リパーゼの増加を抑制することを明らかにした。 平成24年度から25年度にかけて、ヒト好中球の生物活性に対するiPLA2γの関与について、iPLA2γ、iPLA2β、cPLA2αに対する特異的阻害剤を用いて検討を行った。iPLA2γ特異的阻害剤は、受容体を介した好中球の生物活性の発現(活性酸素産生、エラスターゼ遊離、走化性)を完全に抑制した。一方、iPLA2βやcPLA2αに対する阻害剤は生物活性の発現を抑制しなかった。 以上より、iPLA2γは炎症の急性期に活性化される酵素で、特に、その時期に中心的な役割を果たす好中球の生物活性を制御する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)