2013 Fiscal Year Research-status Report
血清・喀痰中のExosomal miRNAを用いたARDSの新規診断・治療戦略
Project/Area Number |
23592671
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鷺島 克之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40336235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 順弘 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30195341)
蒲原 英伸 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (90398222)
廣佐古 進 熊本大学, その他の研究科, 助教 (70432995)
境 恵祐 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (10433038)
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Keywords | ARDS / microRNA / 実験医学 / 集中治療医学 |
Research Abstract |
これまで、血清中からのexosomeの分離精製はExoQuick Exosome Precipitation Solution (SBI)にて行ってきた。この純度に関しては電顕による形態的特徴とWestern blottingによる特異蛋白の発現により行ってきた。喀痰に関しては、分離精製の純度が安定したものが得られなかっので、安定なサンプル回収方法を模索していく必要性がある。血清からのexosome自体が生物学的活性の存在について、上皮系癌細胞(容易に入手実験可能であったため)を用いて検討を行った。分離精製したexosomeを培養液へ添加した刺激実験により、上皮系癌細胞から種々のmicroRNAの誘導が制御(発現増強および抑制)され、また細胞増殖活性が亢進することが分かった。同時にexosome中のmicroRNAの同定も行い、炎症に関与するmicroRNA(microRNA-21など)の発現増強を確認できた。以上のようにExosome内には細胞活性に影響を与える因子を包埋していることが証明できた。これまでの仮説であったexosomeを媒介とした病態への修飾する可能性が存在することが間接的に証明された。今後exosomeは過剰な炎症反応であるARDSへの新たな診断・治療ターゲットとなり得る。またexosome中のさらなる標的分子の検索のためにはExosomeのmicroarray等が必要であり解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ICUへのARDSの患者入室が減少している背景があり、サンプル数が少なく解析迅速性に影響を与えている。また、人工呼吸器管理中の喀痰採取は比較的容易であるが、exosomeおよびmicroRNAの純度からするとまだ不十分であり、まだ分離精製に工夫が必要である。サンプル数の減少につては今後も継続的に回収に力を入れていくことと、ARDSに関連する基礎的実験(細胞培養や動物実験)を取り入れて行くことも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ARDS患者の集約を積極的に行い、血清および気管支液の回収からmicroRNAおよびexosomeの分離精製を続けていく。気管支液からのexosomeの純度は未だ不安定な点があるため、酵素等を用いた喀痰分離キットや超音波破砕なども検討していく。ARDSに特異的なバイオマーかーの検索のため、すう検体分のexosomeのカクテルなどからの検証をmicroRNAのmicroarrayによる解析から行い、新たな標的分子の検索に応用していく。肺胞上皮由来のA549細胞、白血球由来のTHP-1細胞を用いて、ARDS関連のexosomeによる培養中への添加実験を続けていく。microrrayなどにより得られた標的分子についてはRT-PCRによりその発現制御の影響とそのメカニズムを分子生物学的に解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床サンプル、特に血液からのexosomeの純度解析の評価によると、accuracyが確保されてきている。ARDSの臨床サンプル数が少ないため一括評価はまだ難しい状況にあるが、血液・気管支液からexosomeの分離抽出を引き続き施行していく。 使用研究費はexosomeとmicroRNAの分離に要する試薬・キットとRT-PCR解析のため試薬・キットが主となると思われる。喀痰からのexosomeの純度に関しては、optimal conditionの検討が必要な状況にある。これに要する試薬・キットの購入、さらには新たなdeviceの購入や気管支洗浄(BAL)等の導入の検討もしていく。 血液以外のサンプルからのmicroRNAやexosomeの分離精製に関する情報収集が必要である。国内外の学会へ参加する予定である。
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